これまで手荷物のマナー啓発が行われるときは、「リュックサックは前に抱える」が常套句だった。そのおかげもあって、リュックの「前抱え」はすっかり定着したマナーとなっているが、もしかしたら違う持ち方が主流になるかもしれない。
「前抱え」用のリュックまで発売
そもそもリュックは背負って使うものだが、電車内では迷惑な行為として扱われる。2024年12月19日に日本民営鉄道協会(東京都千代田区)が発表した「2024年度 駅と電車内の迷惑行為ランキング」の7位に「荷物の持ち方・置き方(鞄・傘等)」がランクインしている。その具体事例の1位にあがったのが「鞄等を背中に背負う」なのだ。
後ろの人にリュックが当たり圧迫するなど知らない間に苦痛を与える可能性がある。18年3月に関西の鉄道事業者20社局が共同で行ったマナーキャンペーンでは、リュックは前に抱えるよう呼びかけられた。
こうしたキャンペーンの成果もあってか、リュックを前抱えして電車に乗るという人が多くなった。サンワサプライ(岡山市)が「前持ちリュック ビジネスリュック」、老舗カバンメーカーのエース(東京都渋谷区)が「フロンパック」と前抱えに特化したリュックまで発売されるほど、前抱えは定着している。
その一方で、SNS上ではこんな声が見られる。
「前リュックの奴等は配慮してるフリで結局リュックの前や上をスマホスペースに使いたいってのが目的なんだよ。そのため肘が左右に突き出るし、手指の動きは周辺に伝わるしで迷惑」
「マナー違反だし自己中だし無能だろ、前リュック。ある程度の混雑までは前リュックはマナーで正解なんだけど、都心の朝のラッシュは前リュックはダメ。貴方が手を置いたりスマホを見るためのスペースで、まわりは迷惑してるんだよ! 胸の高さに幅をとるリュックを置くと、電車に乗れる人が減るんです...」