業団自転車競技連盟(JBCF)の安原昌弘理事長が2025年2月21日、YouTubeを通じて自転車競技大会「第1回東京クリテウム」での不適切な発言を謝罪した。安原氏は18日に、理事長および理事職の辞任届を提出し、辞職していた。
「雑魚ども、道あけろぉ!」
安原氏をめぐっては、JBCF主催の大会「第1回東京クリテウム」で、スタート前の選手らに対して「前の方の列に見たことないやついっぱい並んでるけど、大丈夫か? お前ら。コケんなよ、分かってるな。以上」と威圧した。
2024年世界選手権トラックの男子スクラッチで金メダルを獲得した窪木一茂選手に対し、「窪木、窪木選手、一番前に出てこい。お前ら、あけたれ。窪木先生、前に出てこーい! 雑魚ども、道あけろぉ!」と「暴言」を浴びせた。
安原氏は自身でも冗談めいた口調で「言い方が悪い」としていたが、一連の発言がSNSで拡散され、大きな批判を浴びた。「なぜ大人が大人に対してこんな口の聞き方をして許されると思うのか、全く理解できない」「自転車競技をよく知らない人が読んだら自転車競技をどう思うだろうか。とても恥ずかしい」など、呆れる声が目立った。
JBCFは17日、公式サイトに「不適切発言についてのお詫び」を公開し安原氏の発言を謝罪した。
「いつも選手と話す話し方を、ついついあの場で話してしまった」
安原氏は21日、JBCFの公式YouTubeチャンネルでの動画を通じて、自ら謝罪を行った。
動画では「先日行われました、第1回東京クリテリウムにおきまして、スタート前の私の発言により、多くの皆様にご不快な思いをさせてしまいました。誠に申し訳ございませんでした」と頭を下げた。
大会について、「ロードレースというレースの性質上、公道を使うことも多くあり、たとえば都心とか街中とか、なかなかそういうところで走れる機会がない」ことから、「選手のみんなの走りを街中で、たくさん人のがおる中で、ぜひ見せたい」との思いがあったと明かした。
大会の開催に際しては行政の支援を受けることが多いといい、安原氏が理事長職についてから5年かけて、民間のスポンサーを集めてようやく大会を開くことができたという。
「なぜああいう発言をしてしまったのか、今でも自分ではよく分かってない」
物議を醸した発言については、「自分としてはなぜああいう発言になったかは分からないんですが。つい、いつも選手と話す話し方を、ついついあの場で話してしまった」と説明した。
安原氏は「年齢の差、立場の差、そういう垣根を外して常に選手とはフレンドリーに接してきたつもりでした」という。
「それがなぜああいう場で、自分でもちょっと......。ああいう場所でレースできたっていう高揚感もありまして。もうなぜああいう発言をしてしまったのか、今でも自分ではよく分かってないですし、『馬鹿なことしてしまったな』と悔やんでおります」
肩を落とした安原氏は「悔やんでも悔み切れないことではありますが」としつつ、理事長職を退くと報告。JBCFの今後については、こう話した。
「理事長をはじめ、理事も若い人に入っていただいて、これからもJBCFは選手と、そういう立場の人間が垣根無く接していけるような団体であり、なおかつ、観戦者の皆様にも楽しんでいただけるようなJBCFの大会にしてもらうように、後の人間に託していきたいと思います」
動画の最後は「このたびは、私の発言で不快に思われた方には、本当に申し訳ないなと思っております」とした上で、「今後もJBCF、全日本実業団競技連盟をよろしくお願いします」と再度頭を下げた。