健康のために体を動かすことは大切だ。その目安として厚生労働省は、高齢者には「1日40分(約6000歩)以上」の、成人には「1日60分(約8000歩)以上」の身体活動を推奨している。最近のアンケート調査によると、シニア世代の2人に1人がこの基準をクリアしているという。
ほぼ毎日運動するシニアは3分の1
このアンケートは、DM三井製糖が2024年9月に全国の男女600人にインターネットで質問したもの。60~80歳代の回答者400人のうち、過半数の52.3%が「1日40分(約6000歩)」の基準を満たしていると答えた。一方、働き盛りの30代の回答者200人のうち「1日60分(8000歩)」の基準を満たしているのは3人に1人にあたる34%にとどまったという。
「運動やスポーツ、体を動かす習い事など、アクティブな活動を、どのくらいの頻度で行なっているか」との質問に、シニア世代の10人中3人が「ほぼ毎日運動する」と答え、さらに10人中4人が「週に2~5日程度」と回答した。「運動をまったくしない」という人も男性で17.5%、女性で24%いた。1日のうち運動や身体活動にかける時間は、シニア世代の男女とも2人に1人が「40分〜1.5時間未満」と答えた。
マラソン大会参加者の8.3%が60歳以上
スポーツに汗を流す「元気なシニア」も年々増えている。大和ネクスト銀行が1000人に聞いた「シニアのスポーツと日帰りレジャーに関する調査」によると、シニアが行っているスポーツの上位は、
1位 ウォーキング(73.7%)
2位 ゴルフ(14.4%)
3位 ヨガ・ストレッチ(14.1%)
の順だった。
3月2日に東京マラソン2025が開催される。42.195キロの公認コースマラソンに挑戦するシニアランナーの数も多い。日本陸上競技連盟(日本陸連)医事委員会によると、2011年4月から2019年3月までに公認コースマラソンは国内で516大会が開かれた。のべ約410万人が参加し、年齢別で8.3%が60歳以上だった。
大会前に心臓病がないかチェックを
安全な競技をめざす日本陸連医事委員会は「マラソン大会における突然死予防プロジェクト」に取り組んでいる。慶応大学などの専門家チームが2024年11月に発表した調査によると、2011~2019年の大会で計69人(男性66人、女性3人)が突然の心停止を起こしていた。そのうち68人が救命されたが、1人は現場での胸骨圧迫とAEDも実らなかった。参加者10万人あたりの心停止発生率は1.7だった。
専門家チームの分析によると、男性参加者の場合、突然の心停止発生率は年齢を重ねるにつれて高くなっていた。「60歳以上は50歳未満と比べて発生率が約6倍も高い」という。このため、特に60歳以上の男性ランナーについて「大会参加前に心臓病がないかのチェックを受けることが重要」と指摘している。
(ジャーナリスト 橋本聡)