パトカー「無車検・無保険」で4000キロ走行でも立件見送り 佐賀県警に弁護士「ずいぶんと身内に甘いではないか」

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

「未必の故意」でなくても故意ありと判断されてしまうこと「ままある」

   実際、今回の佐賀県警の対応は「甘い対応」と言えるのだろうか。弁護士法人リーガルプラス市川法律事務所(千葉県市川市)の小林貴行弁護士は、一般人の「無車検・無保険」が警察に取り締まられた場合、「刑事事件として立件され、書類送検までされた上で、起訴をするかどうかの決定権を有する検察官の判断で起訴が見送られることはあり得る」が、「客観的に無車検・無保険での運行が明らかであるにもかかわらず、警察段階で立件すらされないというのは、なかなかないのではと思います」とみる。

   さらに小林弁護士は、無車検・無保険の罪が成立する条件であるとされる「故意」があるかどうかの検討対応についても、一般人に対するものと本件とではずいぶんと対応が違うのではないかと疑念を呈する。「無車検・無保険」の場合、「切れているかいないか微妙だな、でも切れていたとしてもかまわない」と思って運転することもいわゆる「未必の故意」として故意にあたる。一般人が「無車検・無保険」で捜査を受ける際には、実際にはこうした「未必の故意」すらなかったとしても、あいまいな記憶を警察から追及され、その回答次第で故意ありと判断されてしまうことも「ままあるのかなと感じます」とした。

   これに対して、本件では一方的に「故意性は低い」と警察自身から発表されたのみであり、故意の有無が本格的に検討されたのかどうか疑わしいというのである。

   「無車検・無保険」であった2台で4000キロという走行距離自体については、「無車検・無保険の類型の中では比較的よくある距離なのかもしれません」としたうえで、

「よくある話として適切に立件して送検し、その上で警察とは違う組織に属する検察官の判断として、『故意の立証が容易ではなく起訴までは難しいとか、悪質性が低いから起訴までは必要ない』となるのであれば理解できます。

しかし、身内も身内である警察自体が立件自体をせずに捜査すらもしないで(編注:佐賀県警は「捜査」したと説明しているが、小林弁護士は、実質的な「捜査」は行われていないと評価している)事件を終わらせてしまうというのは、ずいぶんと身内に甘いではないかと思ってしまいます。警察として故意が無いと判断したのだとしても、立件の上でその趣旨の意見をつけて送検することだって可能だったはずです」

とし、「事案に対する本気度が一般の方に対するものとは全然違うのではないかと疑われても仕方ないと思います」と指摘した。

1 2
姉妹サイト