「所得税の103万円の壁引き上げ」をめぐる自民党と野党の駆け引きはヤマ場を迎えているが、東京大准教授でマルクス主義など経済・社会思想が専門の斎藤幸平氏は、「そもそもしょぼい話」と一刀両断にした。
非課税枠を103万円から160万円に引き上げるも...
2025年2月18日の「news23」(TBS系)にゲスト出演し、「いま日本社会が抱えている大きな問題、たとえばインフレの問題であるとか、少子高齢化の話であるとか、私の専門である脱炭素の話であるとかって、(103万円の壁を引き上げて)手取りを増やしたって何ら解決しないので、これじゃあその場しのぎというか、目先の話だなって思ってたんですけども、この(自民党の提案)の流れになっていくんであれば、さらに超しょぼい話になってくるので......」とあきれ顔で語り、「実に日本らしい」とぼそり。
自民党はこの日、非課税枠を103万円から160万円に引き上げるが、対象となるのは年収200万円以下の人で、年収200万円から500万円の人は2025年度と26年度に限り133万円まで引き上げ、それ以上は政府案通り123万円までの引き上げという改正案を提示した。
メインキャスターの小川彩佳さんが「斎藤さん、どうですか、この新たな与党(自民党)案では......」とコメントを求める。
「みんなの頭を混乱させてごまかそうと」
斎藤氏はいよいよ舌鋒鋭く、「これだと、やっぱり自民党、制度をさらに複雑にして、みんなの頭を混乱させてごまかそうとしてるんじゃないかと思います」と批判し、「結局、さっきのしょぼい話ですけども、こんなレベルで終わるのであれば、高校無償化の話の方が何十万単位の話になるので、そういう話の方が実は重要だけれども、国民民主党はそこについてはあまり推していなかったりするので......。でも、これ(自民党提案)を飲むわけにはいかないし、もう一波乱起きる感じですか?」と、解説担当の元経済部デスクの片山薫記者に逆質問。
片山記者が「それはあるかもしれません。そして、減税するという気力が、今の政権にはあるのかなと思います」と説明すると、斎藤さんは苦笑するしかなかった。
(シニアエディター 関口一喜)
「103万円の壁」の引き上げをめぐる自民党、公明党、国民民主党の3党協議で、新たな提案が示されました。
— 玉木雄一郎(国民民主党) (@tamakiyuichiro) February 18, 2025
給与収入200万円相当以下については、
基礎控除95万円+給与所得控除65万円(最低保証額のみの引き上げ)=160万円との提案ですが、… pic.twitter.com/teLdXtprf5