ユニクロ33万円、SBI34万円、大和ハウス35万円...
―― 一方、大企業のほうは、新聞報道によると、「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングが初任給を30万円から33万円に、SBIホールディングスが4万円アップの34万円に、大和ハウス工業が一律10万円程度アップで、大卒の場合35万円前後に、と景気のいい発表が相次ぎます。こうした大企業の「初任給引き上げ競争」の動きをどう分析しますか。
また、若手獲得のために新卒を優遇するあまり、30~40代の中堅層の賃上げを低く押さえたり、自分より新人のほうが高いと、20代後半の人が退職したりする心配はないでしょうか。
担当者 「初任給引き上げ競争」の動きの背景には、少子高齢化・人材不足による採用競争の激化や、物価高などを背景とする賃上げの広がりがあると考えられます。初任給の引き上げにともなう既存社員との給与逆転現象について、企業から懸念の声が複数あがっています。たとえば――。
「初任給の引き上げにともない、既存の若手社員との逆転現象が起こらないよう給与の引き上げを行う」(大企業、飲食料品・飼料製造)や「他社に負けないよう初任給を上げる。入社10年未満の社員も同様に賃上げしないとバランスが崩れるため対象とする」(中小企業、情報サービス)などです。初任給引き上げを契機に、既存社員の給料を底上げする動きがみられました。
また、初任給を引き上げない企業からも、「初任給引き上げと既存社員の給与とのバランスが課題」(中小企業、専門サービス)のように、初任給引上げの課題として既存社員との給与の調整をあげる声が出ています。