初任給上げる企業7割超、平均引き上げ額9114円 最多ゾーン「20万~25万円」だが...大企業は30数万円台で競争

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「業界の平均初任給より、少しでも上げないと応募がこない」

   J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった帝国データバンク情報統括部の担当者に話を聞いた。

――今回の調査結果は、初任給を引き上げる企業が約71%、引き上げ幅平均額が9114円、初任給額の最多ゾーンが「20万~25万円未満」(約6割)ですが、この数字は過去の調査に比べて最高水準なのでしょうか。また、企業がこれほど引き上げる理由は何が一番大きいのですか。

担当者 引き上げる企業の割合を調べたのは今回初めてなので、過去のデータとの比較はできません。「初任給額」については昨年度(2024年度)に初めて調査し、今回で2回目ですが、「20万~25万円未満」の割合が昨年度の57.4%から4.7ポイント上昇し、62.1%となっています。

要因の一つとして「人材確保」が考えられます。物価高で賃上げの流れが加速し、採用市場における人材の売り手市場が続くなか、採用競争の激化への対応が大きいです。

「業界の平均初任給に対し、少しでも上げていかないと入社希望者がいない」(中小企業、運輸・倉庫)や「初任給は同業他社で徐々に上がってきている。当社の現水準が特に安いわけではないが、新卒者の目を引くためには少し上げたほうがよい」(大企業、建材・家具)と答えた企業もありました。

また、「物価による既存社員の生活への影響を考えて全体の賃上げを行なう」(中小企業、情報サービス)などのように、初任給の引き上げを契機に既存社員の賃上げを行なう企業も多数ありました。

――今回少し驚いたのは、初任給を引き上げる割合が、大企業より中小企業のほうが高いことです。これは、中小企業がそれほど追い詰められているということでしょうか。

担当者 中小企業では、「最低賃金の改定を参考にして初任給の引き上げを行う」(建設)や、「大手企業に大きく引き離されるわけにもいかず、採用にも関わってくるため引き上げる」(情報サービス)、「大手企業とは違い苦しいが、もともと支給額が低いため、物価高に合わせた賃上げを検討」(飲食料品卸売)といった声が寄せられています。

コスト面で厳しいながらも最低賃金の上昇にともなう調整のほか、大企業を中心に加速している賃上げの流れに、何とかついていくために初任給を引き上げる企業が少なくありませんでした。
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