みずほ元行員も貸金庫「窃盗」で不安広がる それでもサービス撤退できない理由

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   三菱UFJ銀行で多額の貸金庫窃盗が発覚して元行員が逮捕されたのに続き、みずほ銀行でも、元行員が数千万円を盗んだと報じられ、同行は2025年2月18日、公式サイトで事実を認めて謝罪した。

   相次ぐ元行員の不祥事発覚で不安が広がり、銀行への信用失墜が指摘されている。貸金庫離れも進んでいるというが、それでもこのサービスをなかなか止められないようだ。

  • みずほ銀行
    みずほ銀行
  • 貸金庫でも用心が必要?(画像はイメージ)
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  • 貸金庫でも用心が必要?(画像はイメージ)

みずほ銀行「お客様のご意向で公表しませんでした」

「公表しないでほしいとのお客様のご意向があり、お客様との関係を踏まえまして、公表していませんでした」

   今回の不祥事について、みずほ銀行の広報室は18日、J-CASTニュースの取材にこう説明した。客が「公表しないでほしい」と求めた理由については、分からないという。

   同行で貸金庫窃盗が発覚して元行員を懲戒解雇処分にしたのは、19年中のことだ。三菱UFJで、その後に同様な窃盗が行われており、もし公表されていれば防げた可能性が指摘されているが、みずほでは、客の事情を非公表の理由に挙げた。

   みずほの発表によると、元行員は客2人の貸金庫から現金のみ計数千万円を盗んだことが発覚し、その後速やかに処分されたとしている。

   同行の広報室は、取材に対し、支店の元行員による窃盗が起きたことを19年中に金融庁に報告したことを明らかにした。不祥事が起きて、金庫の予備用カギについて保管や持ち出しをする手続きを見直し、行員同士で相互に監視することを強化することも報告したという。その結果、金融庁からは、指導を受けたり処分されたりしたことはなかったと説明した。20年以降は、貸金庫の不祥事はないとしている。

   貸金庫を巡っては、脱税の金が預けられたり、マネーロンダリング(資金洗浄)に悪用されたりするリスクが指摘されている。加藤勝信金融相も、18日の閣議後会見で、そのようなことを踏まえて貸金庫のあり方を検討すると述べた。

「富裕層取引のためのサービスで、撤退まで考えていない」

   今回については、三菱UFJの事件同様に、本来は口座などに預けるはずの多額の現金が、何らかの理由で貸金庫に保管されていた。

   この点について、みずほ銀行の広報室では、貸金庫の規程上、現金を入れないよう明記されていないうえ、客しか貸金庫の中身が分からないことがあったと取材に説明した。

   元行員の窃盗については、客2人と個別に協議して解決済みだとしたが、警察に被害届を出したのか、客に弁償したのかについては、「個別の回答は差し控えさせて下さい」と明らかにしなかった。

   貸金庫について、三菱UFJは、3月までに方向性を出す考えで、撤退も選択肢には入っていると報じられた。みずほも、1月16日から新規受け付けを無期限停止にすることを今回の取材でも明らかにした。

   とはいえ、貸金庫ビジネスは、儲けが少なく、手間もかかることが指摘されるものの、各行にとっても、なかなか止められない事情があるようだ。

   みずほの広報室は、今後について、次のように話した。

「貸金庫の利用については、以前より減少しています。店舗数が減ったことと家での保管を選ぶ若い世代が増えたことなどがあります。ただ、貸金庫を使われる方は、富裕層が多く、他のお取引に付随したお客様サービスの1つになっています。現在も利用されているお客様が一定数おられますので、撤退までは考えていません」

   貸金庫窃盗について、金融庁は18日、監督官庁としてみずほに対し、発覚当時は「指導」ではなく、次のような対応をしたと取材に説明した。

「事案の概要や事実関係の報告を受け、発生した原因について聞いて、再発防止策の策定を求めました。その後、防止策についても、銀行から報告を受けています。不祥事件を公表するか、被害届を出すかについては、監督対応とは別になり、銀行としての経営判断になってきます。貸金庫には、既存の客がおり、そのサービスは続けることになりますが、金融庁としても、有識者の意見を聞きながらサービスのあり方を検討しないといけないと考えています」

(J-CASTニュース編集部 野口博之)

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