「富裕層取引のためのサービスで、撤退まで考えていない」
今回については、三菱UFJの事件同様に、本来は口座などに預けるはずの多額の現金が、何らかの理由で貸金庫に保管されていた。
この点について、みずほ銀行の広報室では、貸金庫の規程上、現金を入れないよう明記されていないうえ、客しか貸金庫の中身が分からないことがあったと取材に説明した。
元行員の窃盗については、客2人と個別に協議して解決済みだとしたが、警察に被害届を出したのか、客に弁償したのかについては、「個別の回答は差し控えさせて下さい」と明らかにしなかった。
貸金庫について、三菱UFJは、3月までに方向性を出す考えで、撤退も選択肢には入っていると報じられた。みずほも、1月16日から新規受け付けを無期限停止にすることを今回の取材でも明らかにした。
とはいえ、貸金庫ビジネスは、儲けが少なく、手間もかかることが指摘されるものの、各行にとっても、なかなか止められない事情があるようだ。
みずほの広報室は、今後について、次のように話した。
「貸金庫の利用については、以前より減少しています。店舗数が減ったことと家での保管を選ぶ若い世代が増えたことなどがあります。ただ、貸金庫を使われる方は、富裕層が多く、他のお取引に付随したお客様サービスの1つになっています。現在も利用されているお客様が一定数おられますので、撤退までは考えていません」
貸金庫窃盗について、金融庁は18日、監督官庁としてみずほに対し、発覚当時は「指導」ではなく、次のような対応をしたと取材に説明した。
「事案の概要や事実関係の報告を受け、発生した原因について聞いて、再発防止策の策定を求めました。その後、防止策についても、銀行から報告を受けています。不祥事件を公表するか、被害届を出すかについては、監督対応とは別になり、銀行としての経営判断になってきます。貸金庫には、既存の客がおり、そのサービスは続けることになりますが、金融庁としても、有識者の意見を聞きながらサービスのあり方を検討しないといけないと考えています」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)