「休みの日は徹夜でゲームしてます」はNG
それでは、具体的にどのような交渉をすればよいのか。Aさんによると、まずは志望企業の研究をじっくりやり、いかにその会社に貢献できるかを論理的にアピールすることが大事だという。
そのほかにも王道な交渉術はさまざまあるが、Aさんは少し変わったアプローチとして「趣味を使った交渉」について話してくれた。
「雑談の中で『趣味はなんですか?』とか『休みの日は何をして過ごしますか?』なんて聞かれることがありますが、そこで無防備に『はい、家でゴロゴロしてます』とか『徹夜でゲームしてます』なんて答えると面接担当は冷めるんですよ。そんな生活してるんだったらそこまで高給じゃなくていいな、と思ってしまうんですね」
特にマネジメントを担う「ハイクラス人材」の場合、面接担当に「それなりの生活をしている人物である」と印象づけることで、下手な交渉ができないと思わせる「心理学的アプローチ」もあるという。
「例えば『趣味はワインで、休日は有名経営者の◯◯さんも参加する頒布会に参加しています。そこには大手企業の管理職層が結構いて、何かと相談できる知人友人もできるんです』といった話をすると、この人は立派な人で、採用すると自社にもいい人脈ができるのではないか、と期待してもらえるんです」
Aさんによると、このような手法は心理学的な法則を利用したものだという。例えば、自分の判断よりも「社会の多数派である他人」の判断に従った行動をしてしまう心理を「社会的証明の原理」といい、「ワインを趣味にする人はエグゼクティブ層に多い」というイメージを利用して「この人もエグゼクティブにふさわしい」と思い込ませるという。
「学術的に正しいかどうかは分からないのですが、私たちエージェントの間では、こういう法則や原理はよく共有されていて、どう使えるのか考えることが多いです」