東京・新宿歌舞伎町のセブン-イレブンの店員が、万引きしたという男を取り押さえ、警察に引き渡す様子を撮った動画がネット上で投稿され、店員の毅然とした対応が注目を集めている。
「7-ELEVEN」のロゴが背中に入った緑色のジャケットを着た男性店員2人が、逃げようともがく男を捕まえ、店内に引き戻そうとする。男のカバンらしきものが路上に落ちていた。
「持ってない、ポケット見て!」男は無実を訴えたが...
もう1人の男性店員が応援に入り、男を3人がかりで引っ張る。男は、激しく抵抗するため、店員らも必死だ。
ここは、若者らがたむろする「トー横」と呼ばれるエリアで、いわゆる「トー横キッズ」らしき男女が路上にベタ座りしながら、その様子を見たり、スマホで撮ったりしている。
男は、黒いパーカーが脱げるほど暴れるが、時々地面に座らされながら、徐々に店内に押し込められた。レジ前に来た男は、マスクを着けた素顔が見え、暴れてまた逃げようとする。店員に抵抗するため、店の商品が次々に棚から落ちて散乱した。
「なんで、お前ら...」。男は、こうわめき、「お前ら、何やねん。痛いって。何も持ってない」と主張する。しかし、周囲からは、「あきらめろ!」と何度も声がかかった。
「息できへんって。持ってない、ポケット見て!」
男は、大声を上げたが、店員の1人は、毅然とした様子でこう返した。
「何で逃げたんですか? 蹴ったでしょ」
これに対し、男は、「蹴ってない」と反論し、なおも抵抗すると、警視庁の警察官2人が店に入ってきた。男の背中は、もみ合った影響で真っ赤だ。男は、「お前らがやったんだ」と被害者然としたが、店員も負けていない。
「これ全部払ってもらうよ、今日はね」
散らばった商品を指差し、「自分万引きしてたら、もうあきらめろ、ね」と男に詰め寄る。警察官1人が「下がって、下がって」と制止し、店員は、後ろに下がると、「悪いやつだよ、お前は」と男に抵抗を止めるよう促した。
セブン&アイ「当該店舗から警察に対して被害届」
警察官に取り押さえられた男も、「弁護士に電話するわ」と言い返し、警察官から「落ち着いて」とたしなめられていた。
警察官が「何を取ったんですか?」と聞くと、男は「取ってない」と主張し、「外に出たいんや」となおも逃げようとする。警察官が「いいから、何があったか教えて下さい」と聞くと、店員が横で「殴ってたもんで」と説明し、男は「殴られたんや」と反論していた。
その後、男は、警察に押さえつけられ、「痛いって。なんで俺、逮捕になってんの?」とわめく。警察が「暴れんな」と怒鳴ると、男は「暴れてません」「暴れてんの、お前らやで。引っ張るなって。名前言えや」と警察に抵抗していた。警察が男に靴を履くように促し、履いたところで店内から連行すると、男は、パトカーに乗せられた。パトカーは、男を乗せて、店の前から走り出した。その後、「あいつ何盗んだの?」「パン2つ」といった英語の会話が聞こえたところで、動画が終わっている。
この約7分の動画は、元々はTikTokで投稿された後、2025年2月16日にXで取り上げられ、大きな話題になった。TikTok投稿は削除されているが、X転載の動画には、9万件以上の「いいね」が集まっており、「すごい従業員だ!素晴らしい!」「ナイス連携プレー」「トー横のコンビニで働く勇気がすごい」などと店員への賞賛が相次いでいる。
男を取り押さえたことについて、セブン-イレブン新宿東宝ビル店の店長は17日、J-CASTニュースの取材に対し、14日夜にあったことだと認めたうえで、本部が対応すると答えた。
セブン-イレブンを運営するセブン&アイ・ホールディングスの広報センターは18日、取材に対し、次のようにコメントした。
「弊社として本事案およびSNSでの取り上げについて把握をしておりますが、詳細については、当該店舗から警察に対して被害届が提出されていることも鑑み、回答を差し控えさせていただきます。なお、当時勤務していた従業員様をはじめ、お買い物されていたお客様にケガは無いと報告を受けております」
(J-CASTニュース編集部 野口博之)