ゆっくり座って帰れる電車...新幹線・特急、グリーン車、座席指定列車 充実路線とショボい路線の差

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サービス削減、廃止になる傾向は?

   複数のサービスで着席需要を旺盛に獲得しようとする路線もあれば、サービスを削減して一定の需要のぶんだけは確保、という路線もある。

   東急電鉄の東急東横線方面「Q SEAT」では、2両あった座席指定車両が1両になった。割引キャンペーンもひんぱんに実施していた。

   中央線・青梅線は「はちおうじ」「おうめ」を不要とし、「普通列車グリーン車」を選ぶことにした。

   西武鉄道では池袋線は特急「ちちぶ」「むさし」が好調だ。だが新宿線の「小江戸」を今後どうするかが検討されており、「拝島ライナー」のような列車が本川越に向かうようになることも予想される。

   着席サービスを充実させる路線と、一定のところまでやったあとそれ以上はやらない、場合によっては縮小させる路線がある。

   縮小させる路線の傾向として、まずは距離が短い、あるいは時間短縮効果が見込めないところがある。たとえば「はちおうじ」は、乗車した限り中央線の特別快速プラスアルファの速度しか出せていない。走行距離は47.4km。いっぽう特急「湘南」は、東京~小田原間の列車では83.9km走る。

   短距離の路線では、そもそも快適な車両を連結せず、そもそも利用者も求めない。

   東急東横線の「Q SEAT」は、渋谷から横浜まで乗っても24.2kmであるいっぽう、東急大井町線・田園都市線の「Q SEAT」は大井町から長津田まで26.6km。東横線は最速達種別に連結されるのではない一方、大井町線・田園都市線では最速達種別に連結される。

   快適な帰宅を利用者が求める路線で、鉄道事業者もそれに応えようとする路線は、比較的長距離で速度を出せる路線である。そう考えると、小田急電鉄が伊勢原や秦野、小田原までの通勤向け「ロマンスカー」を走らせ、好評なのもわかる。そして新幹線に速達性でかなうものはない。(小林拓矢)


筆者プロフィール

こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。

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