Z世代にとっての「参考書」はSNSやYouTube。テレビや雑誌で情報収集をする時代は過ぎ去り、今はネットから流行を手に入れるのが主流となった。大人たちも情報誌の購入よりSNS検索を優先させるのだから、デジタルに強い若者ならなおのことだろう。
「非日常」のような毎日を流す人たち
SNS上での「娯楽」と呼ばれるカテゴリーでは、基本的にまぶしい投稿ばかりが並ぶ。アカウントを作れば手が届かないような世界をワンクリックで閲覧でき、日本国外の情報だって簡単に手に入る時代だ。うまく使えば自身の可能性を大きく広げることができるSNSは、現代人にとって非常に魅力的なツールである。
XやInstagram、TikTokでは一般的な日常を投稿するアカウントが過半数を占めるものの、注目を集めるのはやはり「非日常」と言わんばかりの毎日を流す人たち。
若くしてハイブランドのコスメを買い揃える高校生、海外セレブのような豪邸に住む謎の美女、高級シャンパンを次々と空ける夜職のキャスト、二次元のようなルックスを持つインフルエンサーを見ていると、閲覧者の心には憧れの感情が芽生える。
この感情が育つと彼らを羨望のまなざしで見るようになり、徐々に「自分もこうなりたい」という願望へと変わりゆく。
ただ憧れるだけなら何の問題もない。だが、盲目的になると、物事の本質を見抜く力が麻痺しがちだ。投稿はあくまで表面上のものなのに、「どこまでが本当なのか」「彼らの財源は?」という現実的な部分を無視して、感情だけに身を任せて暴走する若者が後を絶たない。