親世代の働き方と、子ども世代の働き方では価値観がかなり違う
――親の半数近くが「オヤカク」を受けています。また、内定式や入社式の招待を受け、参加する親がけっこう多いですが、この企業の狙いは何でしょうか。小学校の入学式じゃあるまいし、あまりにも企業も親も過保護な気がしますが。
長谷川洋介さん 企業側がオヤカクを含めた保護者向けのアプローチを行う理由のトップは「内定辞退対策のため」です。また、「保護者の意見を重視する学生が多いと感じる」という理由も多くなっています。
「説明会開催時に本人とその保護者が来訪されたので双方に説明を行なった」という企業もあり、実際に保護者の反対で内定を辞退されたケースが多いのです。採用担当者かは「全国転勤があるから親が反対している」「親から地元就職を希望され、泣きながら内定辞退の電話してきた学生がいた」「退職金がないため保護者に反対された」といったコメントが寄せられています。
つまり、新卒採用には保護者への対策が欠かせなくなっているのです。
――昭和の親の立場からいわせてもらうと、就職活動中の子どもに親が言えることは、「働くということは何なのか」と社会人の先輩として議論することだと思いますが、古い考え方でしょうか。
長谷川洋介さん 学生にとって保護者は、もっとも身近な社会人の先輩です。その仕事への姿勢から子どもに対して「働くとはどういうことか」を教える立場であることは変わりません。実際、学生が内定受諾の判断に際して相談する相手のトップは「父親・母親」です。
一方で、前に述べたように、保護者世代の働き方と、現在の若い世代の働き方では価値観がかなり違っています。子どもに社会人としての心得を教える際には、自分たち(親世代)の働き方が絶対ではなく、現代の価値観を理解し、そのうえで子どものキャリア形成に寄り添っていく姿勢が重要になると考えています。