バブル時代から企業が親に挨拶する「オヤカク」はあった
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったマイナビ・キャリアリサーチラボ研究員の長谷川洋介さんに話を聞いた。
――そもそもの疑問ですが、企業が就活生の親に「オヤカク」をするようになったのは、いつごろからでしょうか。
長谷川洋介さん 「オヤカク」とは、企業が内定を出した学生の親に対して自社のことを紹介したり、内定同意の確認を取ったりする行為のことを指す言葉です。ここ1、2年でメディアが盛んに報じるようになりましたが、弊社の就職活動調査で、設問に「オヤカク」という言葉が登場したのは2017年調査が初めてとなります。
しかし、内定者フォローの一環として、企業の担当者や役員が学生の保護者に挨拶をする、という行為自体はバブル期の採用活動について紹介した弊社の雑誌(毎日コミュニケーションズ『月刊コミュニケーション』1989年8月15日発行)にも記載が見られます。
正確な時期は不明ですが、少なくともすでにバブル期の頃には同じような活動が行われていたと考えられます。
――バブルの頃は内定者を海外旅行に連れていき、ホテルに缶詰めにして他社に行かないようにした例がありましたが、親にまで対策を行っていたとは知りませんでした。
親が知っている「話題の就活ワード」が面白いですね。「お祈り」などよく知っているなと感心します。70代の私が学生時代は、就職が決まった段階で親に知らせただけでしたが、現在は親が子どもの一部始終を把握して、親子が二人三脚で就活をしているということでしょうか。
長谷川洋介さん 必ずしも保護者が子供の就職活動の動向をすべて把握しているということでもないと考えています。保護者の側から「どの企業にエントリーしたのか」などと聞いているケースは、おおむね5~6割台で、10年前の調査でも大きな差はありません。
一方で、子どもから「自己分析の相談を受ける」という保護者が増加傾向にあり、また学生調査でも「就職活動について保護者に相談する」と回答する割合も増えていますから、どちらかというと子ども(学生)から相談があり、保護者側はその求めに応じているというのが基本的なスタンスだと考えられます。