見た目はシンプルな指輪、ファッションアイテムにも
EVERINGは、それ自体はVisaブランド付与のプリペイドカードである(「カード」と表現するとややこしくなってしまうが)。専用アプリで別のクレカと紐付け、そこから残高をチャージして使う仕組みだ。
見た目はジルコニアセラミックのシンプルな指輪で、決済に利用せずともファッションアイテムとして身に着ける考え方もあるだろう。もちろん、レジや自動改札の認識パッドにこれをかざせば、迅速な非接触型決済が可能だ。
タッチ決済に特化しているため、高額の決済には不向きという欠点もある。Visaのタッチ決済は、原則として一度に1万5000円までの取引しかできない。それ以上は接触型決済――すなわち、カードの差し込みと暗証番号入力が必要になる。
タッチ決済とは、そもそも小銭が必要になる少額決済をより効率的に行うコンセプトのもとに設計されているため、そのような仕組みになっているのだ。
それでも、普段の買い物で1回の請求額が1万5000円以上になることは頻繁にあるものではない。
物価高の現在とはいえ、日常的な買い物はせいぜい数千円で済むはずだ。新幹線に乗って遠方に行くというわけではない限り、あらゆる決済はEVERINGだけで完結できるだろう。
その上で、自分の身近にある公共交通機関がタッチ決済に対応するようになったとしたら、今までより「クレカの活用」について考える機会が訪れるのではないか。
大阪を中心とした関西地方の「EVERING」人気は、まさにその延長線上にあるといってもいいだろう。(澤田真一)