オンラインカジノが社会問題になっている。
オンラインカジノの運営者やサーバーは、日本国外にある。マルタ、フィリピン、英領バミューダ、オランダ領キュラソーにある。
だが、これらの国および地域で運営されているオンラインカジノに日本からアクセスし、出入金を行った場合は違法になってしまう。
オリンピックのメダリストや吉本芸人など、著名人の書類送検が相次いだことも記憶に新しい。
さらに、YouTubeでは「オンラインカジノ実況」というジャンルがあり、こちらでもさまざまなトラブルが発生しているようだ。筆者自身の経験も交えながら、オンラインカジノ実況者の迷惑行為や動機について解説していきたい。
SNSに「僕の動画も視聴して」と書き込んでくる
筆者もゲーム実況チャンネルを運営しているが、こんなコメントが書き込まれていたことがある。
「面白い動画ですね! もしよければ、僕の動画も視聴してください!」
そのような文言と共に、YouTubeチャンネルのURLもあり、のぞいてみると、オンラインカジノの実況動画を堂々配信している。
調べてみると、どうやら彼は他人の動画のコメント欄だけでなく、SNSでも同様の書き込みをしていることがわかった。しかも、単に自分の動画を視聴してほしいというよりは、特定のオンラインカジノに誘導しているような書き方である。
それはまさに「なりふり構わぬ」という具合に、あらゆる実況者のチャンネルやSNSアカウントにオンラインカジノを宣伝しまくっていた。
動画に対するコメントを書き込む際は、最低限その動画の内容に触れるか、配信者の求める方向性の話題やリアクションを振るのがマナー。コメント欄でいきなり別の動画の宣伝をURL付きで書き込むのは、「迷惑行為」と見なされる可能性もある。
にもかかわらず、なぜオンラインカジノ実況YouTuberはそのような行為に及ぶのか? これは、それぞれのオンラインカジノが展開しているアフィリエイトプログラムが絡んでいる。
実際に逮捕者も
ネットユーザーをオンラインカジノの広告に誘導し、会員にすれば特別手当がもらえるという仕組みのアフィリエイトプログラムがある。「オンラインカジノ アフィリエイト」と検索すると、オンラインカジノの公式サイトやそれらを紹介するブログが次々と検索結果に表示される。
たとえば、X、YouTube、LINEで手軽に「アフィ活」ができるとうたうオンラインカジノもあり、同時に「効率の良い不労所得」と「オンラインカジノのアフィリエイトは日本では違法ではない」という点を強調している。
だが、オンラインカジノのアフィ活は日本では違法行為になる可能性が高く、実際に逮捕者も出ている。
そのため、アフィ活の危険性を呼びかける自治体もある。滋賀県公式サイトでは、相談事例として、こう書かれている。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて知り合った人から「僕が信用した人にだけ特別に教えている良い話がある。一緒に成功しないか」と誘われた。勧誘者のメッセージには「海外のアフィリエイト代行サービスの会員になるだけで儲かる。海外のオンラインカジノサイトの広告にアクセスした客がギャンブルでかけたお金の数パーセントがもらえ、さらに下部会員を増やしたらマージンも入る」と書いてあった。(中略)会員登録し、翌月一括払いでカード決済した。契約書はもらっていない。よく考えると不安なので解約したい。(20歳代・女性)
この相談に対する回答は、以下の通り。
このようなケースは特定商取引法の連鎖販売取引にあたります。連鎖販売取引はマルチ商法またはネットワークビジネスとも呼ばれます。「会員を勧誘すると利益が得られる」と誘って会員を増やしながら、組織に入るお金が上位の会員に分配されるシステムです。法律で定められた書面(法定書面という)を受け取った日、または商品の再販売の場合は商品を受け取った日のどちらか遅い日から20日間はクーリングオフができます。
自治体にはすでにこのような相談が舞い込んでいるという事実は見過ごせるものではない。
ここまで述べたオンラインカジノのアフィリエイトプログラムは、マルチ商法もしくはネットワークビジネスとほぼ同等の仕組み、構造といえる。
日本のオンラインカジノ利用者は、一説には300万人を超えているという。同時に、オンラインカジノによるギャンブル依存症患者の急増も問題視されるようになった。やろうと思えば誰でも手軽に遊べるオンラインカジノだが、やはり安易に手を出せる代物ではない。(澤田真一)