注意! 食べ過ぎ、寝る前の食事
逆流性食道炎と診断されたら、薬による治療とともに、重要となるのが生活の改善だ。薬物治療で胃酸の分泌を抑制するのは可能だが、胃酸の逆流を防ぐ薬はない。投薬に加え、逆流を招きやすい生活習慣を改めることで、治療効果を高めたい。
日本消化器病学会が策定した「胃食道逆流症ガイド2023」は、生活面で避けたいものとして、(1)腹部の締め付け(2)重い物を持つ(3)前かがみの姿勢(4)右を下にして寝る(右側臥位)(5)肥満(6)喫煙――を例示した。食事面では(1)食べ過ぎ(2)就寝前の食事(3)高脂肪食(4)甘いものなどの高浸透圧食(5)アルコール(6)チョコレート(7)コーヒー(8)炭酸飲料(9)ミカンなどの柑橘類――などを控えるよう求めた。「とくに改善効果が高い」として、「肥満の解消(体重減少)と上半身をやや起き上がらせて寝る姿勢(頭側挙上)」を挙げた。
逆流を防ぐ食べ方のコツもある。前述の啓発サイトは、(1)よく噛んでゆっくり食べる(早食いを避け、ゆっくりと食べる)(2)腹八分目を意識する(食事量をコントロールする)(3)食後すぐに横にならない(少なくとも30分間は体を起こしておく)――を伝授する。
その昔、「食べてすぐに寝ると牛になるぞ!」と注意されたものである。行儀の悪さを戒めたことわざは思いのほか、奥が深い。
(フリーライター 倉井建太)