新鮮な鶏肉でも、カンピロバクターの食中毒は発生する----。こう注意を促したXの投稿が2025年2月11日ごろからSNSで話題になった。これは、生焼けの焼き鳥を提供する飲食店の店員から「レアで提供している」と言われたと訴える投稿が発端だった。
だが、鶏肉を刺身にする「鶏刺し」が日常的に食べられている地域もある。特に有名なのは鹿児島県だ。生食用の鶏肉の衛生基準を定めている県の生活衛生課は「表面を焼いて殺菌することでリスクは下がるが、完全にリスクがなくなるわけではない」と指摘している。
加熱呼びかけも...小さな文字で「生食用の鶏肉の衛生基準を定めている自治体がある」
生や半生の鶏肉がSNSで話題になったのは、9日のX投稿が発端だ。生焼けの焼き鳥を提供された際に「レアで提供している」と言われたと訴えるものだ。12日時点で5万件以上のいいねを集め、「食べちゃダメ」「鳥の生はヤバい」などの声が寄せられた。
11日には、「新鮮な鶏肉であれば生食できる」という認識は間違いだと注意を促す投稿が注目を集めた。大阪市住吉区役所が「お肉は十分に加熱して食べましょう」と公式サイトで呼びかけているページのURLを紹介したものだ。
厚生労働省の公式サイトでも、「鶏肉も十分加熱して食べよう」と注意喚起している。飲食店向けの印刷物では、新鮮な鶏肉だから安全というわけではないと説明。食鳥処理後の鶏肉のカンピロバクター汚染率が67.4%だったとのデータも掲載している。
加熱用や用途不明の鶏肉を生食用に使用してはいけない、とも表記している。だが、生食用の鶏肉の衛生基準を定めている自治体があると小さな文字で補足を加えている。
「抵抗力の弱い人は食肉の生食を控えること」
では、こうした自治体はどのような衛生基準を定めているのか。また、鶏肉を生で食べるリスクをどう考えているのか。鹿児島県の生活衛生課の担当者は12日、県が定める「生食用食鳥肉の衛生基準」の具体的な内容について次のように説明した。
「まず、サルモネラ属菌やカンピロバクター属菌などの細菌が陰性でなければならない。また、食肉処理場での加工や飲食店での調理などでの注意事項を示しています。そのほか、10度以下で保存することや、生食用である旨などを表示することなどを定めています」
この衛生基準は、「鶏刺し」など、県民の食生活の一部に定着していることから定めたものだという。鶏肉を生で食べるための安全確保を図っているが、「一般的に食肉の生食は食中毒のリスクがあること」と「子ども、高齢者、食中毒に対する抵抗力の弱い人は食肉の生食を控えること」を呼びかけている。