新車に装着するタイヤは一般に「OE(オリジナルエクイップメント)タイヤ」と呼ばれる。これは自動車メーカーがそのクルマの性能を最大限引き出すため、タイヤメーカーと共同開発した専用タイヤだ。これに対して、買い替え需要に対応した一般的な市販用タイヤは「REP(リプレイス)タイヤ」と呼ばれる。
ブリヂストンの場合、スポーツカーなど高性能車には「POTENZA(ポテンザ)」、高級車には「REGNO(レグノ)」、低燃費用には「ECOPIA(エコピア)」などのブランドがある。
手に入りにくい製品もある
ポテンザの中にもOEタイヤとREPタイヤがある。一例を挙げるなら、ポテンザには「RE070」という銘柄があるが、これは高性能スポーツカー向けのOEタイヤで、2000年代に日産GT-R、ホンダNSX、スバルインプレッサWRX-STIなどが新車時に標準装備したタイヤだ。
同じポテンザRE070でも、GT-R、NSX、WRX-STI用では微妙に異なり、そのクルマの特性にあったセッティングがされていた。
しかし、ポテンザRE070はブリヂストンの一般向けタイヤのカタログには記載がなく、簡単に購入できなかった。購入するにはタイヤ専門店に特注するか、ネットで探すしかなかった。ポテンザRE070は今もブリヂストンからオンラインで購入できるが、一般的な市販のポテンザに比べれば割高なのはいうまでもない。
2000年代以降のポテンザでRE070に匹敵するREPタイヤは、RE-01、RE-11、RE-71Rなどだ。筆者はインプレッサWRX-STIで歴代ポテンザを愛用し、富士スピードウェイのショートサーキットなどを走っている。純正のRE070を履きつぶした後、2008年発売のRE-11を購入したが、グリップの低さに失望し、RE070に履き替えた経験がある。
その後、ブリヂストンは評判の悪かったRE-11を刷新し、RE-71R、RE-71RSなどを開発した。これらの後継モデルは総合性能でRE070に匹敵もしくは凌駕していると感じる。
タイヤの性能は日進月歩だ。交換するならOEタイヤを参考にしながら、最新モデルを選ぶのがよいだろう。予算に余裕があるなら、同じOEタイヤをネットなどで購入するのもよいが、同じブランド(ポテンザならポテンザ)の中からOEタイヤに近いREPタイヤを選ぶのもよい。
試乗リポートを参考にする
OEタイヤと同格の他メーカーのタイヤを検討するのもよい。ブリヂストンのポテンザに匹敵するのは横浜ゴムなら「ADVAN(アドバン)」、住友ゴム工業(ダンロップ)なら「DIREZZA(ディレッツァ)」だ。
これらのスポーツタイヤは各メーカーによって「走り」が異なる。走りにこだわるドライバーなら、試乗リポートなどを参考に銘柄を吟味するのは楽しいだろう。
一方、燃費重視ならエコタイヤという選択もある。その場合もOEタイヤと同サイズで、同格と思われるREPタイヤを探すのがよい。
コスト重視なら、台湾の「NANKANG(ナンカン)」、韓国の「Hankook(ハンコック)」などアジアのタイヤを選ぶのも悪くない。筆者はナンカンの夏タイヤと冬タイヤを愛用しているが、サーキットのスポーツ走行を含め、実力はかなりのものだと実感している。
(ジャーナリスト 岩城諒)