場所、時間帯、建物内外で通信のつながりは大きく変わる
J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なったMMD研究所の担当者に話を聞いた。
――MMD研究所では2024年7月にも通信のつながりに関する調査を行っています。今回、外出時に途切れた経験がある人が前回より3.7ポイント減少しました。各社が通信の改善を大いに行なったと結果と前向きに評価しますか。それともまだまだ努力が足りないと厳しく評価しますか。
担当者 前回実施した調査と比較しても「途切れた」は3.7ポイント減少しているので、前向きな評価ができると思います。通信キャリア各社が、通信品質に力を入れていると発表し、通信品質向上に向けて5Gネットワークの整備や、基地局増設など継続的な取り組みを行なった結果だと考えられます。
しかし、通信のつながりやすさには場所、時間帯、建物内外などの個人の利用環境が大きく影響するため、依然として通信が途切れると感じるユーザーが一定数存在することも事実です。
――通信品質の調査はいろいろと難しい面があると思いますが、よく外出時のさまざまなシーンをグラフに可視化し、大手4社で比較しましたね。その際の留意点は何でしょうか。
また、電車・バスの中やコンサート・ライブ会場などによって、これほどつながりやすさに差があるのは、どういう理由からでしょうか。
担当者 通信のつながりやすさに差が生じる主な要因として、基地局の配置や密度の違い、多くの人が同時に通信を利用することによるネットワークの混雑や電波の特性が挙げられます。
特に高周波帯の電波は通信容量が大きいものの障害物に弱く、地下や建物内では低周波帯であるプラチナバンドが有利に働くため、環境によって通信品質に差が生じると考えられます。
今回、弊社はユーザーの直近半年の外出時の通信のつながり経験を調査しました。今ある通信のつながりやすさの情報や報道はどちらかというと通信キャリア発信でテクニカルな情報がほとんどです。
通信キャリアやネットワークに関わる人にとっては共感できますが、今回はユーザーのつながりやすさと体験をアンケートにして、その結果を可視化したいという背景から電車など公共交通機関の中やコンサート・ライブ会場など人の集まる場所を選定しました。