新入社員は「失敗が嫌だから、大きな仕事を任されたくない」 上司・先輩はどう接したらいい?3つのポイントは

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

コロナ禍の経済不安で、「自分でキャリアを切り開く」選択肢はリスクが高くなった

   J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を担当した日本能率協会マネジメントセンター・ラーニングマーケティング本部の斎木輝之さんに話を聞いた。

――新入社員に「現在の会社でずっと働きたい」という就社意識が高まっていると結果に驚きました。Z世代は転職意識が非常に高く、「3年以内に3割が退職する」というイメージが定着していましたから。

斎木輝之さん Z世代は転職意識が高く、「3年以内に3割が退職する」というイメージはあながち間違いではありません。実際、厚生労働省の調査でも、大学卒の就職後3年以内の離職率は、1995年に30%を超えて以来、多少の増減はあるものの一貫して30%超で推移しています。

また、Z世代の転職意識は、40代以上の世代と比べて「自分軸」が強い傾向があります。入社当時は同じ会社で長く働きたい気持ちがあったとしても、やりたい仕事ができる環境が見つかれば、すぐに転職を決断することが多いです。

背景には、SNSの発展による情報収集のしやすさが大きく影響しています。そのため、近年企業側は、「PMVV」(パーパス、ミッション、ビジョン、バリュー)のメッセージ発信を強化し、社員に「この会社で働く意味」を理解・共感してもらいやすくする取り組みを進めています。

――なるほど。「就社志向」が急に高まっても安心は禁物ですね。しかし、「キャリアを自ら切り開く」意識がダウンしているのは心配です。また、「失敗したくないから、大きな仕事を任されたくない」などと自信がない人が多いことが気になります。

一方で、別の調査会社の「やりがいのある企業ランキング」などでは、若いうちから大きな仕事を任されて若手の裁量権が大きい会社の評価が非常に高い。それとは真逆の結果です。なぜ、若者らしいチャレンジ精神を失ったのでしょうか。

斎木輝之さん 自らキャリアを切り開く意識が大きく低下した理由については、さまざまな要因があります。第1に、コロナ禍以降に不安感が増加したことがあげられます。企業の倒産やリストラが頻繁に報じられ、不安定な経済状況が若者に心理的影響を与えました。

この結果、雇用の安定性が重視され、「キャリアは自分で切り開く」という選択肢はリスクが高いと感じるようになったと考えられます。

また、現在の大学卒の就職活動は超売り手市場です。自己分析や企業分析を深く掘り下げることなく内定を得ている場合もあり、より未来を見据えるよりも、「今」の充実さを重視する傾向が高まっていることも要因といえます。
姉妹サイト