冬はフケが出やすい季節である。この時季は黒っぽい服を着がちだから、フケに悩む人にとって、なおさら他人の目が気になってしまう。「頭皮からのSOS」ともいわれるフケ、手を施さないままでいると、抜け毛が増え、薄毛になる恐れがある。フケの原因を知り、的確なケアで頭皮のトラブルを解決したい。
新陳代謝のペースが乱れると
頭皮は顔や体の皮膚と同じように、約1カ月の周期で新陳代謝(ターンオーバー)を繰り返している。その際、頭皮からはがれ落ちた古い角質片がフケだ。健康な頭皮であれば、フケは目に見えないぐらい小さいから気づかない。頭皮の炎症など、何らかの原因で新陳代謝のペースが乱れると、はがれ落ちる角質片が増えたり、大きくなったりする。これが、いわゆる「フケ症」である。
フケは2種類あり、パラパラした細かい粉状の「乾性フケ」が肩口などに積もりやすいのに対し、ベトベトとした大きめの形状の「脂性フケ」は頭皮や毛髪に張り付いたりする。冬にフケが増える最大の理由が、乾いた大気の影響で頭皮が乾燥するからだ。頭皮の乾燥で角質がはがれやすいうえ、頭皮のバリア機能も落ちているから、かゆみを感じて爪でかくと、たちまち頭皮に傷がついてしまう。結果、新陳代謝が乱れ、フケが増えるという悪循環に陥る。
洗髪見直し、ゴシゴシ洗わない
また、頭皮の乾燥で多く分泌された皮脂が地肌に残ると、皮脂を好む真菌(カビ)の一種マラセチア菌の過剰繁殖によって、皮膚に炎症が起き、湿ったフケが出やすくなる。このほか、寒さによる頭皮の血行不良が新陳代謝異状の一因と指摘する専門医もいる。
「AGAメディカルケアクリニック」(東京)などの各医療機関がサイト上で、冬のフケ対策として強調するのが「頭皮の乾燥予防」だ。まずは洗髪の見直しから。ぬるま湯で皮脂を洗い流してから、抗真菌成分が入った低刺激のシャンプーをよく泡立て、指の腹で優しくマッサージするように洗う。爪や強い力でゴシゴシ洗うのは、頭皮を傷つけるから禁物。すすぎはシャンプーの成分を残さないように。洗髪後は清潔なタオルで、やさしく水気を拭き取る。ドライヤーを使うのであれば、手早く乾かすのがポイントだ。さらに(1)頭皮にローションなどで保湿ケアをする(2)室内を加湿する(3)高温のシャワーを避ける――なども効果的という。
フケが増える時は脂漏性皮膚炎や、皮脂欠乏性湿疹、アトピー性皮膚炎、乾癬(かんせん)、白癬などの皮膚疾患の可能性があるため、注意したい。フケがなかなか治らない、赤みがひどいといった症状があれば、医療機関で受診する必要がある。
フケが増える原因は生活習慣が深く関係している、というのが医療関係者の一致した見方だ。ストレスや、睡眠不足、疲労、偏った食事、不規則な生活などの生活習慣が、ホルモンバランスの乱れを招き、頭皮の新陳代謝に悪影響を与えていると考えられている。
健康な頭皮を取り戻す。それがフケを治す唯一の道である。
(フリーライター 倉井建太)