本屋さんは文化の拠点
しかし、書店はただ本を売るだけでない。その街の文化の大切な拠点だ。本屋さんがなくなることは、本の向こうに広がっているまだ知らない世界への入り口を閉ざすことにもなる。
このままでは街の文化インフラが危ないと、本屋さんを誘致する自治体も出てきた。富山県立山町は役場の敷地内に、コンビニのローソンに「書店を併せ持った店舗」を開店してもらった。鳥取県江府町は書店だった駅前の建物を買い取り、書店を中心とした新たな施設を計画。静岡県長泉町は出版物取次の日本出版販売と連携協定を結び、公園の多世代交流施設に本と触れ合う空間を作ることを検討している。
経済産業省も書店減少に歯止めをかけようと、大臣直属の「書店振興プロジェクトチーム」を作り、「書店経営者向け支援施策活用ガイド」をまとめた。経営専門家への相談や補助金活用などをアドバイスしているのだが、プロジェクトチームの責任者である南亮・商務・サービス審議官も、「人手不足やコスト高など構造的な問題もあるので、国が予算を投入すればいきなり書店が増えていくというようなものではなく、書店数が劇的に増えるといった目の覚めるような政策もありません」と難しさを語っている。
せめて雑誌くらいは駅前の本屋さんで買うことにしたい。
(シニアエディター 関口一喜)