ホンダは「東京オートサロン2025」で新型プレリュードのプロトタイプを公開した。新型プレリュードは2023年の「ジャパン・モビリティ・ショー」(旧東京モーターショー)に登場し、話題を呼んだ。今回は市販間近のモデルとして注目を集めた。
ホンダプレリュードは初代が1978年に登場し、87年発売の3代目が「日産シルビア」と人気を二分するスペシャリティーカーとして一世を風靡した。
その後、プレリュードはミニバンブームなどに押され、2001年に5代目で販売を終了。今秋にも発売する新型は6代目となる。
6代目のプレリュードは時代に合わせ高効率のハイブリッドとなるほか、ホンダが「Sプラスシフト」と呼ぶ新たな制御技術を導入する。
国内はスバル、海外はBMWと共同開発
近年、日本では往年の名車が復活する動きがある。トヨタ自動車が80年代の「ハチロク」(カローラレビン、スプリンタートレノの愛称)を2012年に「トヨタ86」として復活させた。86はSUBARU(スバル)の水平対向エンジンを搭載するなど、同社との共同開発だった。
さらにトヨタは2019年、独BMWと共同開発した新型「スープラ」を復活させた。スープラはトヨタを代表するスポーツカーだが、ミニバンブームなどで2002年に生産を終了していた。
86とスープラに共通するのは他社との共同開発と生産だ。トヨタはスポーツカーの開発では、国内ではスバル、海外ではBMWというスポーツカーを得意とするメーカーのエンジンやノウハウを活用。スバルやBMWが姉妹車を併売することで生産台数をかせぎ、単独開発に伴うリスクを分散している。
新型スープラの場合、開発はBMWの本拠地ミュンヘンで行い、エンジン、サスペンションなどはBMWと共有した。86は群馬県のスバルの工場で生産するが、スープラの生産は日本ではなく、BMW関連のオーストリアの工場で行うという徹底ぶりだった。
今後、トヨタは「セリカGT-FOUR」をミッドシップエンジンで復活させるのではないかと見られている。
日産ではシルビア、マツダでは「RX-7」が姿を変えて復活するのではないかと、メディアでは騒がれている。
マツダが2023年のジャパン・モビリティ・ショーに出品した「アイコニックSP」は、まさにRX-7の復活だろう。マツダ伝統のロータリーエンジンで発電し、モーターで駆動するスポーツカーで、燃料は「e-fuel」などカーボンニュートラル燃料を使うことを想定している。
子育てを終えて懐かしのデートカーを
ここに挙げたクルマたちは、例外なく80年代から90年代にかけて登場したスポーツカーやスペシャリティーカーだ。当時の若者の「デートカー」だった。
その若者たちが子育て世代となった2000年代以降はスペース効率に優れたミニバンやSUVが人気となった。
そんな80~90年代の若者が子育てを終え、そろそろ仕事がリタイヤを迎えるころ、タイミングを見計らって登場したのが86やスープラ、そしてプレリュードなのだろう。
日産がフェアレディZとGT-Rを少量ながらも継続して生産しているのは、知名度が高く、同社を象徴するイメージリーダーだからだ。
子育てを終え、リタイヤを迎えた世代が、昔懐かしいスポーツカーの新型を退職金で買ったとしてもおかしくない。同世代の筆者もその一人で、自分の青春時代を振り返り、新型を買う気持ちはよくわかる。
販売台数としては決して多くないが、一世を風靡した名車の復活は、これからも続くのではないか。
(ジャーナリスト 岩城諒)
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— Honda 本田技研工業 (@HondaJP) December 17, 2024