スズキ「ジムニーノマド」にトヨタ「アイゴ」 「日本車」なのに日本で販売しない深い事情

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ドル箱の米国を優先する日産「ムラーノ」

   そんなアイゴをトヨタはなぜ日本でも発売しないのか。それはトヨタ子会社のダイハツ工業がアイゴに匹敵する「トヨタパッソ」と「ダイハツブーン」を日本で生産し、両社が販売していたためだろう。日本ではダイハツが得意とする軽自動車が存在することも、トヨタがアイゴを見送る理由に違いない。

   日産自動車は2024年10月、北米向けとなる4代目「ムラーノ」を発表。25年から米国とカナダで販売するが、日本への導入は未定だ。ムラーノのように、日本車でありながら、ドル箱の北米を優先する事例は多い。

   日産はムラーノより大きな「アルマーダ」というフルサイズのSUVも米国で販売している。アルマーダは日本で生産しているが、国内では大きすぎるため、販売が見送られている。

   アルマーダと同様にSUBARU(スバル)には北米専用の「アセント」がある。こちらも日本市場ではサイズが大きすぎるため、米国で生産・販売するだけで、日本へは投入していない。

   スバルは北米市場向けに開発した「レガシィアウトバック」を日米で生産・販売してきたが、2025年3月末で日本仕様の受注を停止することになっている。日本では「レガシィツーリングワゴン」後継の「レヴォーグ」が人気で、米国サイズのアウトバックは販売が落ち込んでいるからだ。

   このようにグローバルに展開する日本メーカーは北米や欧州、アジアなど海外市場に合った専用車を現地で生産・販売することが多い。このうち日本市場にも合うものはスズキジムニーノマドのように日本でも販売するが、トヨタアイゴのように諸般の事情で日本では手に入らない日本車もある。海外を訪れた際、知らない日本車を見かけるのはこのためだ。

(ジャーナリスト 岩城諒)

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