日本の主要経済紙や経済専門誌など大手メディアでは、トヨタ自動車など日本メーカーのEV化が遅れ、米テスラや中国の比亜迪(BYD)の遅れをとっているという論調が目立つ。トヨタとテスラの時価総額やEVの世界販売台数を比較すれば、確かにその通りだ。
2024年の各国の自動車メーカーの世界販売台数は、トヨタグループが前年比4%減の1082万台となったものの、5年連続で世界首位を維持した。ところが、ホンダ、日産自動車、スズキがBYDに初めて抜かれ、大きなニュースとなった。
グローバル市場を狙う日本勢
ホンダが5%減の380万台、日産が1%減の334万台、スズキが6%増の324万台だったのに対して、BYDは41%増の427万台だった。EV専業のテスラは178万台だった。
これらの数字をどう読み解くべきか。BYDはEVのほか、エンジン付きのプラグイン・ハイブリッドカー(PHV)も販売し、販売台数ではPHVがEVを上回っている。BYDは大半が自国の中国で売れており、日本はもちろん、欧米への進出は限られている。
テスラは米国はじめ世界で売れているが、178万台の約5割が中国市場となっている。中国は世界最大の自動車市場で、BYDとテスラは中国依存度が高いのが特徴だ。中国は国策として補助金でEV普及を進めており、とりわけ自国メーカーを保護している。
これに対して、トヨタ、ホンダ、日産などは中国を含む世界全体でグローバルにビジネスを展開している。問題は中国のように世界でEVが急速に普及するか否かだ。
独フォルクスワーゲンなど欧州勢がEVにシフトして、脱エンジンを図ろうとしたが、伸び悩んでいることからわかるように、EVは充電時間の長さ、航続距離の短さ、リチウムイオン電池の経年劣化など解決すべき課題が多い。充電スタンドなどインフラ整備もネックとなっている。