「フレッシュな観点と、前職での経験が職場に刺激を与える」
――【図表2】を見ても、新卒と中途即戦力人材が充足できないからという理由が多いですね。これでは、仕方なく新卒と中途即戦力人材の中間である第二新卒に手を伸ばしている印象を受けます。「第二新卒こそ欲しい!」といった、もっと積極的な理由はないのでしょうか。
宮本祥太さん 第二新卒の特徴の1つが、基礎的な社会人スキルや一定の経験、仕事への適応力を備えているところです。
よいイメージの理由でも、「社会人経験がゼロではなく、若手で吸収力が高い」「早期の職場適応が期待できる」といった経験や適応力に期待する意見が多く見られました。企業視点で考えれば、基礎的なビジネススキル・社会人のマナーなどの教育をゼロから施さなくてもいいメリットがあり、育成面でのコストをおさえられます。
また「新たなフレッシュな観点で物事を見られる」「前職での経験が他のメンバーにも良い影響を与える」などの意見もありました。若い感性を備えつつ、かつ、前の職場との比較ができる立場だからこそ、固定概念にとらわれることなく今の組織にはない新たな視点をもたらすことができる点も、第二新卒人材を採用したいと考える理由の1つではないでしょうか。
――なるほど。大いに納得です。しかし、その一方で「よくないイメージ」を持つ企業も4社に1社ありますね。第二新卒のデメリットにはどんな面があるのでしょうか。
宮本祥太さん デメリットとしては「専門性の不足」が挙げられるかもしれません。特に、特殊スキルや資格が求められる仕事のほか、実務を重ねることで仕事の幅が広がるような職種では、就業経験が浅い第二新卒の能力値が満たないこともあります。このようなケースでは、通常業務ができるようになるまでに多くの時間と労力を要します。
また、デメリットではありませんが、よくないイメージの理由では「すぐに退職してしまうのではないかと不安だ」「前職での退職理由によるが、長続きしない印象がある」などと早期離職への懸念が多くありました。
離職・転職の理由は人それぞれのため、早期離職自体は必ずしもマイナスではありませんが、企業が第二新卒人材を受け入れる際は、前職を辞めた(辞めようとしている)背景に目を向けて、その人材が仕事や会社に何を求めるのかを十分見極める必要があると思います。