「現時点では井上選手に潰されてしまう」
身長165センチの井上と比べ、20センチも背が高く、84%のKO率を誇るエスピノサ。金平会長は、エスピノサの可能性について、次のように分析した。
「フェザー級の選手にしては、非常に体格が大きい。ただ、体の線が細いように見える。そこでいうと、現時点では井上選手に潰されてしまうのではないかと思います。しかし、あの身長185センチは相当に大きい。時間が経てば、階級を上に上げるなどのウエイトコントロールの問題が出てくると思うが、ボクシングが非常にうまい感じがするので、そういう意味での可能性ですね」
そして、こう続けた。
「エスピノサ選手は、高身長だけでなく、工夫して戦う。懐が深く、パワーがないわけではないが、ひ弱い印象がぬぐえない。ただ、すぐに井上選手と対戦するような話ではないので、化ける可能性はある。年齢的にみれば、そこに伸びしろはなく、いかに体を作るか。いかにしっかりとした体を作れるか。ボクシングは背が高ければ、有利というものでもない。高身長を生かしてやりづらさを感じさせるには、最低限の攻撃力が必要となる」
井上はバンタム級に続き、スーパーバンタム級でも世界主要4団体王座を統一した。プロデビュー以来、29戦全勝(26KO)と、ほぼ完ぺきなレコードを誇る。金平会長は、井上の強さに触れつつ、井上に勝つために必要なものに言及した。
「井上選手と戦うということは、井上選手のパンチを徹底的に殺しながら強い攻撃をしていかないと、結局は井上選手に詰められて終わってしまう。そのどちらかだけではだめ。突出した集中力で井上選手の攻撃をしのぎながら、自分も強いパンチを当てていく。普通のボクシングの勝ち方もそうだが、より精度を高くしないと井上選手には勝てない」
井上の25年度の初戦は1月24日に有明アリーナで、スーパーバンタム級の王座防衛戦を行い、WBO同級11位キム・イェジョン(韓国、32)を4回KOで下し王座防衛に成功。次戦は6月14日に米ラスベガスで予定され、対戦相手は、WBC世界スーパーバンタム級1位のアラン・ピカソ(メキシコ、24)が候補に挙がっている。