暗号資産、満足度が高いのはどれ? トランプ政権の「黄金時代がやってくる」政策は追い風になるか

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   トランプ米大統領が就任早々、大々的な推進政策を打ち出したことによって暗号資産(仮想通貨)市場が熱くありそうだ。

   そんななか、デジタル市場専門の調査会社「MMD研究所」(運営元はMMDLabo、東京都港区)が2025年1月29日、「2025年暗号資産(仮想通貨)のシェア・満足度調査」を発表した。

   まだ、日本での取引経験者は数%に過ぎないが、どの暗号資産の人気と満足度が高いのか。今後どこまで伸びるのか、調査担当者に聞いた。

  • 暗号資産は今後伸びるか?(写真はイメージ)
    暗号資産は今後伸びるか?(写真はイメージ)
  • (図表1)現在取引をしている暗号資産(MMD研究所の作成)
    (図表1)現在取引をしている暗号資産(MMD研究所の作成)
  • (図表2)最も取引額の多い暗号資産の取引所・販売所(MMD研究所の作成)
    (図表2)最も取引額の多い暗号資産の取引所・販売所(MMD研究所の作成)
  • (図表3)暗号資産の取引所・販売所の総合満足度(MMD研究所の作成)
    (図表3)暗号資産の取引所・販売所の総合満足度(MMD研究所の作成)
  • 暗号資産は今後伸びるか?(写真はイメージ)
  • (図表1)現在取引をしている暗号資産(MMD研究所の作成)
  • (図表2)最も取引額の多い暗号資産の取引所・販売所(MMD研究所の作成)
  • (図表3)暗号資産の取引所・販売所の総合満足度(MMD研究所の作成)

取引額1位は「bitFlyer」、総合満足度1位は「GMOコイン」

   暗号資産に追い風になりそうなのが、トランプ米大統領の再登板だ。2025年1月23日、「デジタル資産の黄金時代をつくる」として、暗号資産の利用を促進する大統領令に署名。政権内にデジタル資産市場に関する作業部会を設立、新たな規制の枠組みを作るよう指示した。

   同時に、暗号資産のライバルとなる可能性があるFRB(米連邦準備制度理事会)による「中央銀行デジタル通貨(CBDC)」の実証研究や将来の発行を禁じる措置も講じた。

   MMD研究所の調査(225年1月10日~15日)は、20歳~69歳の男女4万3048人が対象だ。

   暗号資産の取引経験を聞くと、2351人(5.5%)が「ある」と回答。性年代別にみると、男性が全体の約4分の3を占め、男性40代が最も多く、次いで男性30代、男性20代と続いた。

   現在取引している1370人に、取引中の暗号資産を聞くと(複数回答可)、「ビットコイン」(80.7%)が最も多く、次に「イーサリアム」(41.4%)、「エックスアールピー、リップル」(31.5%)、「ビットコインキャッシュ」(22.2%)の順となった【図表1】。

   続いて、最も取引額の多い暗号資産の取引所・販売所を聞くと、「bitFlyer」22.7%)が最も多く、次に「Coincheck」(18.8%)、「SBI VCトレード」(10.7%)、「楽天ウォレット」(10.5%)の順となった【図表2】。

   さらに、予備調査から抽出した暗号資産の取引経験者593人を対象に、取引所・販売所の総合満足度を聞くと、満足度(「満足」と「どちらかといえば満足」の合算割合)は、「GMOコイン」(67.0%)が最も高く、次に「メルカリのビットコイン取引サービス」(63.4%)、「bitFlyer」(62.0%)、「SBI VCトレード」(60.0%)の順となった【図表3】。

   取引額5位の「GMOコイン」が満足度では1位、取引額ではダントツの「bitFlyer」が満足度では3位と、取引額の多さと満足度が一致しない点が目につく。

時価総額、価格変動、コスパ...それぞれに一長一短

   J‐CASTニュースBiz編集部は、MMD研究所の調査担当者に話を聞いた。

――暗号資産の取引額が多い上位は、「ビットコイン」「イーサリアム」「エックスアールピー、リップル」「ビットコインキャッシュ」となっています。それぞれどういう特長があるのでしょうか。

担当者 ビットコインは、世界初の暗号資産であり、時価総額が大きいです。デジタルゴールドとして位置づけられ、長期的な資産価値に期待が集まっています。しかし、市場の動向に大きく左右され、価格が急激に上下するリスクがあります。

イーサリアムは、スマートコントラクト機能(プログラミングされた条件が満たされると自動的に実行され、時間やコストが削減できる)を備えており、DeFi(分散型金融)やNFT(非代替トークン)などのさまざまなアプリケーションの基盤として利用されています。トランザクション料金(データ通信を処理するための費用)が高く、ネットワークが混雑している際にはさらに高額になることがあります。

エックスアールピー、リップルは、高速かつ低コストの送金が可能であることが特長です。ブリッジ通貨(2つの通貨の橋渡しをする)としての機能を持つため、円とドルをつなぐ役割を担うこともあります。価格の変動が激しく、損失が出るリスクがあります。

ビットコインキャッシュは、ビットコインから派生し、同じ性能を持ちつつもビットコインよりも高速な取引処理が可能です。しかし、ビットコインに比べて認知は低く、取引の選択肢が限られることがあります。

初心者向けか、プロ向けか...サービス充実度の違い

――また、取引額が多い取引所・販売所の上位は、「bitFlyer」「Coincheck」「SBI VCトレード」「楽天ウォレット」になっています。それぞれどういう特長があるのでしょうか。

担当者 bitFlyerは、日本で歴史のある取引所の1つであり、セキュリティー面が強固です。しかし、取引手数料が安くはありません。

Coincheckは、取引手数料が比較的安く、取引所の現物取引では手数料が無料となっています。しかし、レバレッジ取引(口座に預け入れた証拠金を担保に、証拠金の最大2倍の金額を取引できる)はサービスの提供が終了しているためできません。

SBI VCトレードは、SBIグループの取引所で、多様な金融商品を取り扱っていることが特長です。しかし、取り扱い銘柄の種類が少なめです。

楽天ウォレットは、楽天グループの取引所で、楽天ポイントで銘柄の購入ができます。しかし、取り扱い銘柄の種類が少なめです。

――なるほど。それぞれ一長一短があるのですね。ところで、取引所・販売所の総合満足度では1、2位が「GMOコイン」「メルカリのビットコイン取引サービス」となっています。2つとも取引額の上位には出てきませんが、どんな特長があるのでしょうか。

担当者 GMOコインは、GMOインターネットグループの取引所で、取り扱い銘柄が豊富です。入出金時に手数料がかからない反面、最低取引量が大きめに設定されているため少額取引にはあまり向いていません。

メルカリのビットコイン取引サービスは、メルカリのユーザー基盤を活かしており、メルカリアプリでビットコインの売買が可能です。しかし、取り扱い銘柄が限られています。

――取引所・販売所の取引額の多い順位と、総合満足度が一致しないのはどういう業界の事情があるからでしょうか。自動車や電化製品などでは、よく売れる人気商品は満足度も高い傾向がありますが。

担当者 高い満足度を得ている取引所は、初心者向けのサービスが充実していたり、サポート体制が充実していたりする一方で、プロ向けの高度な機能が不足している場合があります。

ほかにも、取引手数料が安いことや一時的なキャンペーンや施策、SNSや口コミサイトでの評判も関係しているかもしれません。

高いリスクの理解と、セキュリティー対策を万全に

――ところで、トランプ政権の大々的な暗号資産推進の動きが始まりましたが、今後、日本でも取引する動きは拡大するでしょうか。その際、何に一番気をつけなくてはならないでしょうか。

担当者 今後も大きく変化していくことが予想されます。気を付けるべき点としては、価格変動が大きいためリスクがあることの理解や、ハッキングや詐欺に注意して、セキュリティー対策を万全にすることが重要です。

調査では、暗号資産の認知は6割以上あるものの、取引検討では1割に満たない結果となりました。暗号資産は高い成長ポテンシャルを秘めている一方でリスクが高いため、このような結果になっていると考えられます。

今後、より多くの人々に暗号資産に関心を持ってもらうためには、初心者向けの分かりやすい情報提供や投資に関するリスクの説明を強化することが重要だと考えています。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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