「横綱審議委員会の全会一致には驚いた」
角界に新たな横綱が誕生したことに、素直に喜ぶ一方で、全会一致で横綱に推薦した横綱審議委員会の判断に疑問の声を上げた。
藤井氏は「豊昇龍は横綱昇進ですから、本当におめでとうという、本当に頑張ってほしい」と切り出し、横綱審議委員会について、こう語った。
「1番残念だったのは...。(横綱昇進に)反対ではないですよ。まるっきり反対ではないのですが、ただ、横綱審議委員会で、全会一致でOKという。横綱審議委員が何人もいて、その中の3分の2が賛成すれば、横綱への昇進の道が開けていく。異論はひょっとしたら議論の中であったのかもしれないが、完全に『私は反対です。もうひと場所見ましょう。今回は無理ですよ』とか、そういう意見を出した人がいなかったのかなと」
そして、次のように続けた。
「最終的に決を採ったと思います。決を採った時点で、ひとりやふたり、あるいはもう少し。世の中の皆さんの考え方からすると、(横綱審議委員の中に)『もう少し待った方がいいんじゃないの』という意見を持った人が何人かいたのではないかと思ったが、それがひとりもいなかった。全会一致ということですから、これは驚きました。私がもし、横綱審議委員会のメンバーに入っていれば、きっと賛成の手は挙げていないと思います」
NHKで長年にわたり大相撲実況を担当してきた藤井氏。豊昇龍の横綱昇進に関する見解を述べた後、改めて「豊昇龍がだめだとか、嫌いだとか好きだとかという、そういう問題ではない」と強調した。
モンゴル出身の豊昇龍は、元横綱・朝青龍を叔父に持つ力士。18年1月場所で初土俵を踏み、19年11月場所で十両に昇進した。20年9月場所で幕内に上がると、23年7月場所で幕内初優勝を飾り大関に昇進した。