会議の進みを遅らせる「日本の悪しき文化」 「総論OK、各論NG」の罠から抜け出す方法は

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   会議などで意見を求められたときに、このように発言する人によく遭遇します。

「(私は)いいと思うけど、ほかの人はどうかな」

   この発言をきっかけに、まとまりかけていたが、膠着状態に突入してしまったことが何回もあります。「総論OK」と言っているのと同じ。ただ、「総論OK」は、本当はノーということがままあります。

  • 会議の進みを遅らせる要因とは
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膠着が続けば、モチベーションを下げる要因に

   この「総論OK、各論NG」は、日本の悪しき文化と言われ続けてきました。

   そもそも物事を決める際、ついつい「総論」を合意してから、「各論」を詰めるという進め方をしてしまいます。しかしこのやり方は、「総論賛成なら各論も賛成であるはずだ」という考えに立脚したもので、「総論賛成・各論反対」を引き起こしがちです。

   だからなのでしょうか、いまだに影響力を発揮する手法として活用する人がたくさんいます。でも、周囲からすれば「勘弁してくれ」と感じる発言ではないでしょうか? 膠着状態で時間が経過するので、モチベーションを下げる要因になりがちです。

   できれば自ら対策を考えて、仕掛けることで、膠着状態を脱したいものです。では、どうしたらいいのか? まずは「どのようなメンタリティーから発言するのか?」考えてみましょう。

逃げ道を作る婉曲な反対を仕切るには

   おそらく、「反対です」と言い切れない、自分なりに婉曲に反対を主張しているのです。

   つまり、「ここらへんでノーと旗振ってんだけど、ちょっとわかってくれるかな」ぐらいの感じ。ノーと言い切れないゆえの婉曲な表現をした一言、というわけです。

   なぜ、このような玉虫色な回答をするのでしょうか? おそらくそういうは、押しの強い人ではありません。

   「イエスかノーか」といったときに、「比較的イエス」とか、「黒か白か」といったら「黒に近い白です」とか。そういう余韻とか逃げ道を作っておきたいのです。

   だから、「イエスなんですか、ノーなんですか」と尋ねても曖昧な答えが切れ味あふれるものにはなりません。

   こうした存在により、会議が膠着してしまっていいのか? もちろん、いいはずありません。誰かが仕切って、結論を導いていくべきです。

   そうしないと、時間はかかるし、こうした玉虫色の発言が影響力を発揮する、残念な状況を生み出します。巧みに対策を仕掛けていきましょう。

「ノー」を認めさせ、心理的な納得と論理的な納得を

   そこでまずは、「ノーですね」と言ってあげるべきでしょう。「わかりました。ノーでいいんですね」と。

   つまり、余韻を残さないほうがいい。いざとなったときに、「私はこっちだった」というふうに、エビデンスになるように整理を加えるのです。

   そもそもなぜ膠着状態に入るのか。それは「どっち?」と感じる曖昧な発言に振り回されて、やる気がなくなっているからです。

   だったら「わかりました。じゃあもうノーというふうに理解したんで、それでやります」となる。すると、「いや、そういうことじゃなくて俺は賛成なんだ」とか言い出すことでしょう。

   ところが、「結局は反対なのですよね」と断言することで、「膠着状態」は「すっきり状態」に転換していくことでしょう。

   いわゆる「クローズクエスチョン」を求めた仕掛けを行うのです。

   もうひとつ、玉虫色な発言者や周囲の「心理的な納得」と「論理的な納得」が必要です。

   意見の対立においては、わかりやすく言うと、「心理的な納得」のためには、相手の感情に訴え口説く、説得のようなアプローチが必要となります。

   「論理的な納得」のためには、「とりあえず、やってみて、問題が発生したら、見直しをかける形でどうでしょうか?」と、双方が譲歩できるラインを探り、妥協案や折衷案を出すことが必要かもしれませんね。

   いずれにしても、「総論OK。各論NG」の罠からは巧みに脱出していきましょう。



【筆者プロフィール】
高城 幸司(たかぎ・こうじ):株式会社セレブレイン代表取締役社長。1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。

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