「ノー」を認めさせ、心理的な納得と論理的な納得を
そこでまずは、「ノーですね」と言ってあげるべきでしょう。「わかりました。ノーでいいんですね」と。
つまり、余韻を残さないほうがいい。いざとなったときに、「私はこっちだった」というふうに、エビデンスになるように整理を加えるのです。
そもそもなぜ膠着状態に入るのか。それは「どっち?」と感じる曖昧な発言に振り回されて、やる気がなくなっているからです。
だったら「わかりました。じゃあもうノーというふうに理解したんで、それでやります」となる。すると、「いや、そういうことじゃなくて俺は賛成なんだ」とか言い出すことでしょう。
ところが、「結局は反対なのですよね」と断言することで、「膠着状態」は「すっきり状態」に転換していくことでしょう。
いわゆる「クローズクエスチョン」を求めた仕掛けを行うのです。
もうひとつ、玉虫色な発言者や周囲の「心理的な納得」と「論理的な納得」が必要です。
意見の対立においては、わかりやすく言うと、「心理的な納得」のためには、相手の感情に訴え口説く、説得のようなアプローチが必要となります。
「論理的な納得」のためには、「とりあえず、やってみて、問題が発生したら、見直しをかける形でどうでしょうか?」と、双方が譲歩できるラインを探り、妥協案や折衷案を出すことが必要かもしれませんね。
いずれにしても、「総論OK。各論NG」の罠からは巧みに脱出していきましょう。
【筆者プロフィール】
高城 幸司(たかぎ・こうじ):株式会社セレブレイン代表取締役社長。1964年生まれ。リクルートに入社し、通信・ネット関連の営業で6年間トップセールス賞を受賞。その後、日本初の独立起業専門誌「アントレ」を創刊、編集長を務める。2005年に「マネジメント強化を支援する企業」セレブレインの代表取締役社長に就任。近著に『ダメ部下を再生させる上司の技術』(マガジンハウス)、『稼げる人、稼げない人』(PHP新書)。