帝国データバンク(東京都港区)が2025年1月7日に公開した24年のラーメン店の倒産動向によると、経営事業者の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は72件にのぼり、前年の53件から19件増加して3割超の急増。過去最多を大幅に更新した。 人件費や電気代、原材料コストなどが高騰する一方で、価格転嫁が難しく、閉店を余儀なくされたケースが多いという。
開業資金が比較的安い
大手でも厳しい。こってりラーメンで知られるチェーン・天下一品(滋賀県大津市)の新宿歌舞伎町店や恵比寿店、池袋東口店など都内の6店舗が24年6月に閉店している。
その一方で新規に店を開く人も少なくない。
日経COMPASSの24年12月19日の調査結果では、ラーメン店の数は23年の店舗数は約1万6200店。コロナ禍前を上回る数になっていた。
開業資金が比較的安い、特別な技術がなくても開業できるため、ラーメン店は参入障壁が低いと言われている。
首都圏で「北海道らーめんみそ熊」を展開するGRAST(東京都)のウェブサイトによると、独立へのチャレンジ精神、理想のラーメンを作りたい、高年収への憧れといった理由から脱サラしてラーメン店を目指す人が多いと説明している。
ネット上では「ラーメン屋さんって儲かりますか??? 脱サラしてラーメン屋で一獲千金しようかな?ってちょっと考えてます!」との書き込みをしている人や、X(旧ツイッター)に、「脱サラして地道に準備してやっとラーメン屋開業しました」と書いている人もいる。
「生き残っていくことがいかに難しいか」
参入はしやすいけど、倒産件数も多いラーメン店の経営は、簡単ではないと警告する人もいる。
中小企業向けの事業承継・事業再生投資ファンドである日本創生投資(東京都千代田区)の社長・三戸政和氏が講談社のウェブサイト「+αオンライン」(23年9月23日付)でこう話している。
「参入障壁が低いということは競合が多いということでもある。ただでさえライバルが次々と登場する中で、食材価格の高騰など不測の事態を乗り切り、5年と10年と生き残っていくことがいかに難しいか」
その記事のタイトルにこうあった。「ラーメン屋はもってのほか! 飲食店を始めたサラリーマンの残酷すぎる末路」。
(リサーチ班 大山雄也)