プロボクシングの元WBA・IBF世界スーパーバンタム級王者で、現WBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン、30)が、同級4団体統一王者・井上尚弥(大橋、31)への不満を爆発させた。
「『次の試合』と聞かされ続けるのは耐えられない」
米国の権威と歴史ある専門誌「ザ・リング」(ウェブ版)が2025年1月30日に報じた。
アフマダリエフが同メディアのインタビュー取材に応じたもので、「ムロジョン・アフマダリエフ、井上尚弥との対戦について『次の試合』と聞かされ続けるのは耐えられないし、彼らはさらに試合を追加し続ける」とのタイトルで記事が公開された。
同メディアは「アフマダリエフが、王者(井上)に挑戦する前に、さらにもう一戦待つという考えを抱かなかったとしても、彼を責めることはできない」と、同情的な論調で記事を展開し、これまでの経緯を次のように説明した。
「アフマダリエフは、WBAの122ポンド(スーパーバンタム級)暫定王座を保持している。16年の(リオデジャネイロ)オリンピック銅メダリストであるアフマダリエフは、23年12月以来、井上の指名挑戦者であり、両者の試合はWBAによって2度命じられた。その2度とも、井上が別の相手と対戦することで譲歩した」
アフマダリエフは23年12月に行われたWBA世界スーパーバンタム級挑戦者決定戦を制し、井上への指名挑戦権を獲得。その後、井上との対戦はなく、24年12月にWBA同級暫定王座決定戦に勝利し、暫定王者となった。
「『次の試合、次の試合』と言われ続け...」
井上への指名挑戦権を獲得してから1年以上経っても試合が実現しないことから、アフマダリエフの苛立ちは募るばかり。これまでボクシング専門メディアを通じて、井上への挑発を繰り返してきたが、不満は尽きないようだ。
「ザ・リング」の取材に対し、アフマダリエフは「明確な道筋があるのなら構わない。しかし、『次の試合、次の試合』と言われ続け、その間に試合を追加し続けることはできない。そうでなければ、井上はWBAのベルトを返上するべきだ」と主張したという。
井上戦の「確約」を求めるアフマダリエフ。一方で、井上陣営はアフマダリエフ戦の可能性を否定しておらず、対戦に前向きな姿勢をみせている。
スポーツ紙の報道によると、所属ジムの大橋秀行会長(59)は次戦について、米ラスベガスでWBC世界スーパーバンタム級1位のアラン・ピカソ(メキシコ、24)と対戦する計画を明かし、勝利すれば、アフマダリエフとの対戦を予定しているとした。
このような井上陣営の意向を、アフマダリエフは認識しているようで、「素晴らしい計画のように聞こえる」とした上で、「しかし現実には、サインを交わす必要がある」と述べたという。
アフマダリエフはWBA・IBF世界スーパーバンタム級王者時代に、井上の対戦候補に挙がるも、マーロン・タパレス(フィリピン、32)に負け王座から陥落。この時点で、井上の対戦候補から外れた。