2004年上半期の芥川賞を受賞した作家のモブ・ノリオ氏が2025年1月28日、芥川賞の正賞で授与された懐中時計をフリマアプリ「メルカリ」に出品したことについて、「出品して本当によかった」などとブログで感想をつづった。
「換金価値の高そうな物って、あったかな?」
小説『介護入門』で芥川賞を受賞したモブ氏は1月24日、正賞の懐中時計をメルカリで出品したことをブログで報告。「ニセモノやなりすましではなく、本物を出品しています」とし、「自分のペースで、働きながら執筆を続けられるように」と意図を説明した。
30日時点で、この懐中時計は844万円で出品されている。時計の裏側には「第131回芥川龍之介賞 贈 モブ・ノリオ 君」と書かれている。
モブ氏は28日にも、「まずは、出品して本当によかった、と思っています」と心境を語った。メルカリへの感謝を記した後、「『それにしても、芥川賞の時計を、こんな感じで出品しても、ええんや? 自由なんや?』という衝撃」と述べ、次のように語った
「これまでの20年間で、一秒たりとも、本当の意味で、自分の所有物だとは感じたことのなかったこの芥川賞正賞の時計が、メルカリへの出品によって、やっとはじめて、電子情報化を経た手続きによって出品されることで、自分の所有物になったのかも、という気がしています」
モブ氏は29日、ブログを再び更新。文學界新人賞に応募した当時の状況などについて振り返った後、今回の出品は「芥川賞、要らないから叩き売る」といった理由ではないと説明している。
「そういう悪態の一種のでは決してなくて、単に、すぐにお金に替わりそうな所有物で、いわゆる高級品に属するような、換金価値の高そうな物って、あったかな? と考えた時に、大事にしまっていたこの時計の事が思い浮かんだ、というわけなのです」