もう「情報弱者」と言わせない... シニアのスマホスキルを上げる秘訣は?担当者に聞いた

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   最近、シニア層のスマホスキルが向上している。特に70代前半のスキル上昇が著しいことが、NTTドコモのモバイル社会研究所(東京都千代田区)が2025年1月24日に発表した「シニアのスマホスキル調査」でわかった。

   その一方で、60代前半や70代後半のスキル停滞も目に付くという。いったいなぜか。さらにスキルを上げるにはどうしたらよいか。シニア記者が調査担当者に聞いた。

  • スマホを使えるようになるといろいろ楽しい(写真はイメージ)
    スマホを使えるようになるといろいろ楽しい(写真はイメージ)
  • (図表1)シニアの9つのスマホスキル、実施できるか(モバイル社会研究所作成)
    (図表1)シニアの9つのスマホスキル、実施できるか(モバイル社会研究所作成)
  • (図表2)シニアのスマホスキルの経年推移(モバイル社会研究所作成)
    (図表2)シニアのスマホスキルの経年推移(モバイル社会研究所作成)
  • (図表3)シニアのスマホスキル:男女差(モバイル社会研究所作成)
    (図表3)シニアのスマホスキル:男女差(モバイル社会研究所作成)
  • スマホを使えるようになるといろいろ楽しい(写真はイメージ)
  • (図表1)シニアの9つのスマホスキル、実施できるか(モバイル社会研究所作成)
  • (図表2)シニアのスマホスキルの経年推移(モバイル社会研究所作成)
  • (図表3)シニアのスマホスキル:男女差(モバイル社会研究所作成)

スマホで利用する9つの基本的なスキル

   モバイル社会研究所の調査(2024年1月)は、全国の60歳~84歳男女1130人が対象。

   【図表1】ではスマホで利用するスキル9つを挙げ、実施可能な機能を答えてもらった。その結果、メールやメッセージを送信できる・カメラを使って写真や動画を撮影できるシニアは、全年代で8割を超えた。しかし、アプリのダウンロードや削除ができるシニアは、60代前半では8割以上だが、70代後半以上になると4割未満に減った。

   【図表2】は、実施可能なスマホのスキルがどう変化したか、この3年間の経年推移を分析した(80代前半は2024年のみ調査)。シニア全体では、実施可能なスキルの平均数(【図表1】に表示した9つのスキルのうち、一人が平均して何個できるか)が4.5個から5.8個に増加した。特に70代前半では、1年間に0.5個ずつ上昇し、伸び率が著しい。

   しかし、70代後半では2024年に減少したり、60代前半では2023年に減少したかと思えば、2024年に増加したりと、凸凹がみられる。

   次に、それぞれの年代ごとに男女差を比較した。男性の実施可能な割合から女性の実施可能な割合を引いた値を【図表3】に示した。

   多くのスキルで、男性が女性よりも高い傾向が見られる。特に60代後半以上では、男性の割合が顕著に高くなっているが、「メールやメッセージを送る」「カメラを使って写真や動画を送る」など女性のほうが高いスキルもある。

   この男女差はどういう理由だろうか。

「ガラケーをいつ手放したか」が、70代のスキルの差に

   J‐CASTニュースBiz編集部は、調査をまとめたモバイル社会研究所の水野一成さん(シニア・子ども・防災調査担当)に話を聞いた。

――図1のスマホスキル9つのチェック結果が面白いです。70代の私は、上から5つまではできますが、残り4つはダメ。同世代の妻は「Wi‐Fiに接続」と「写真の編集・加工」だけがダメという結果でした。

妻によれば、「Wi‐Fiに接続」は普通に使っていれば必要ないはず、「写真の編集・加工」はパソコンに送って編集・加工すれば済む話と申していますが、いかがでしょうか。

水野一成さん シニアの中で特に男性の方に多いのですが、スマホよりパソコンの利用に慣れており、スマホではそのスキルを持っていない場合でも、パソコンで可能な方がいます。

Wi-Fiについては、ご自宅などで一度設定しておけば、それ以降は意識せずご利用いただけると思いますが、初めて利用する際にご自分で設定ができるか、という観点になります。

――この9つは基本中の基本と思われますが、これ以外にも私たちシニアもマスターすべきだという基本スキルがあれば教えてください。今後のスキル向上の参考にしたいです。

水野一成さん 今回の調査で例示したスキルは実際にスマホを活用するために、ある程度必要であるものを列挙しました。これ以外にも必要なという視点ではなく、このスキルを身に着けているとできるサービスがある、つまりスマホによってより豊かな生活に繋がる可能性があります。

どんなサービス(アプリ)を使いたいかは人それぞれかと思います。私からぜひお勧めしたいのは、防災系アプリです。発災時にはプッシュで通知が飛んでくるアプリが多く、減災に繋がる可能性があります。そのためにも「アプリのダウンロード」のスキルは必要となります。

――【図表2】の経年変化で70代前半のスキル向上が1直線に上昇していますね。その一方で、60代前半が2023年に凹んだり、70代後半が2024年にスキルが下がったりするなどバラツキがあります。これはなぜでしょうか。

水野一成さん これはスマホの普及と関連している可能性があります。ここ数年は70代の普及の拡大が大きいです。ところが、60代はすでに90%以上に普及しており飽和状態にあります。つまり、70代は全体的にスキルをどんどん学んで吸収する発展途上にあるわけですね。

ただ、所有のきっかけは「フィーチャーフォン(いわゆるガラケー)が使えなくなると聞いた」とか「フィーチャーフォンが使えなくなった」といった受動的理由が特に70代後半に多いです。

そのため、70代前半の多くは周りがスマホを持ち、友人からの情報もあり、スキル向上が続いているのに、70代後半は受動的理由でスマホを持った(あまりスキルが高くない)割合が増えたことが要因にあると思われます。

スマホスキルの男女差は、パソコンを仕事で使う時間の差

――なるほど。ところで【図表3】の男女差を見ると、メールや写真・動画、電話帳の分野で女性のスキルが高く、一方、Wi‐Fiに接続、ネット検索など大半の分野で男性のほうが高いという明確な差がでています。これはどういう理由でしょうか。

わが家では妻のスキルのほうが高く、いつも教わっており、知り合いのシニアでも女性のほうがよく知っている気がします。

水野一成さん 女性が高いスキルは「コミュニケーション」に関連したスキルとなります。これは普段の使い方(メールやSNS)の差が表れているかと思います。それ以外のスキルが男性のほうが高いのは、パソコンのスキルとの関連がありそうです。

当研究所の調査では、男性のほうが女性より仕事でパソコンを使い始めた時期が早く、また現在も、パソコンを利用する時間が女性より3倍多いです。その差が現在のスマホの利用(スキル)にも影響しています。

スマホで何をしたいかを明確にしよう

――私たちシニアがスマホスキルをさらに上げるにはどうしたらよいでしょうか。子や孫と同居していないシニアは、面倒くさがらずにセミナーなどに通うといいでしょうか。

水野一成さん スキルを身に着けるには「ご家族に聞く」「友人に聞く」「スマホ教室に通う」などがありますが、やはりスマホで何をしたいかを明確にすることが先ではないでしょうか。

何がやりたいかが明確になれば、それに必要なスキルも明らかになりますし、学ぶ時のモチベーションにつながると思います。

(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)

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