川口市のクルド人問題、摩擦増えヘイトデモまで発生 地域住民と共存するヒントは

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   埼玉県の川口市や蕨市などに住むトルコ系クルド人と日本人の住民との間で摩擦が生じている。クルド人がゴミ捨てなどのルールを守らなかったり、夜中に騒いだりするといった相談が行政側に寄せられているという。ネットでも、クルド人問題をめぐる賛否の意見が飛び交っている。

  • 以前は深刻な摩擦はなかった
    以前は深刻な摩擦はなかった
  • 以前は深刻な摩擦はなかった

日本に来るようになったのは90年代

   クルド人とはどんな人たちか。トルコやシリアなどにまたがる地域に住み、「国を持たない最大の民族」と呼ばれる。居住する国で迫害を受けることが多く、圧力や暴力から逃れたいと日本に渡ってきた人が多い。

   日本に来るようになったのは1990年代で、現在2000~3000人がいるとされる。その大半が親類や友人を頼って川口市周辺に集まった。多くは難民申請を行い、一時的に収容を免除される「仮放免」の立場にある。

   川口市などの日本人住民は以前から、ゴミ捨てなどのトラブルを訴えてはいたが、深刻な摩擦はなかった。日本人住民らが「怖い」と口にするようになったのは2023年夏に起きた事件がきっかけのようだ。

   クルド人同士のトラブルから、一人の男性が別の男性を刃物で切りつけた。問題はけがをした男性が搬送された川口市内の病院に、親族や友人ら約100人のクルド人が集まり、大騒ぎになってしまったことだ。7人が逮捕され、いずれも不起訴処分となったが、この騒動が動画で拡散され、恐怖心を与えたらしい。

   この事件を機にクルド人に対するヘイトスピーチが頻発し、埼玉県外などから来た人が川口駅前などでヘイトデモを行うなど、深刻な事態に発展している。

地域の一員になるための努力

   こうした中、川口市周辺に住むクルド人の中には、地域の一員として認めてもらおうと動き出す人も増えている。クルド人団体「日本クルド文化協会」のメンバーらは川口市周辺でパトロール活動を行い、ゴミ拾いなどを行っている。事件を機に警戒感を強めた日本人も多いが、日本語教室を開くなど地道な支援も続いている。

   ここに至った川口周辺のクルド人問題だが、日本人と外国人が共生できる方法はないのか。注目される一つは群馬県大泉町だ。同町は住民約4万人超のうち約2割を外国人が占めている。町はポルトガル語の広報紙を発行したり、外国人と日本人が一緒にイベントを催すなど交流が進んでいる。

   同町に外国人が増えたのは、90年の入管法改正で日系人の就労が拡大されたからだ。同町に集積している自動車工場などの働き手としてブラジル人らが住み始め、地元企業の多くが元々、外国人を歓迎していた。

   一方、川口市の場合は、周辺のクルド人は仮放免の人が多く、就労も健康保険の加入も認められていない。親族から援助を受けて何とか生活する人も多く、生活基盤は不安定だ。

   川口市は国に対し、仮放免の外国人が最低限の生活を維持できるよう、就労を可能とする制度を作ってほしいなどと要望している。問題解決には、外国人の生活基盤を築く政策が欠かせないという。

(ジャーナリスト 宇崎朱莉)

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