超高齢社会が一段と進み、2025年には総人口の3人に1人が65歳以上となる見通しだ。マーケットを大きく左右する、この「シニア層」を取り込もうと、65歳以上など、年齢の条件を満たした人に優遇や特典をサービスする「シニア割引」(「シルバー割引」とも)が花盛りである。
カラオケ店は「室料半額」「1時間無料」も
カラオケ店。60歳以上なら、ビッグエコーでは室料10%オフ▽ジャンカラ毎月第3・4火曜日の室料半額▽コート・ダジュール室料1時間無料か、10%オフ▽ラウンド・ワン毎月第2木曜日100円引――などのサービスが充実しているから、「歌好き」にとってはたまらない。
博物館・美術館は、65歳以上が科学技術館(東京)100円引▽国立科学博物館(東京)常設展無料▽国立西洋美術館(東京)常設展無料▽東京国立近代美術館・所蔵作品展無料▽箱根ガラスの森美術館(神奈川)100円引――で、東京国立博物館なら70歳以上が総合文化展(平常展)は無料となる。
上野動物園は65歳以上半額
動物園・水族館では、65歳以上が上野動物園・料金半額▽しながわ水族館・150円引▽葛西臨海水族園・半額▽富士サファリパーク(静岡)700円引▽世界淡水魚園水族館(岐阜県)180円引▽群馬サファリパーク800円引▽マリンワールド海の中道(福岡)300円引――など。
シニア割引の「老舗格」といえる映画館では、TOHOシネマ・入場料1300円(60歳以上)▽109シネマズ・入場料1300円(65歳以上)▽ユナイテッドシネマ・入場料1300円(60歳以上)――で、イオンシネマは夫婦いずれかが50歳以上、または55歳以上が入場料1100円となる。
交通機関ではシニア割引がない方が珍しい。航空各社では65歳以上の運賃割引は常識で、鉄道各社も運賃・料金の割引を競っている。
東京都が突出するシルバーパス割引
そんな中、東京都が2025年度から、70歳以上の都民が公共交通機関を定額利用できる「シルバーパス」の販売額(有効期間1年)を現行の2万510円から1万2000円に約4割減とする破格の割引を決めた。負担を減らして外出しやすくし、高齢者の社会参加を後押しするというのが狙いだが、財源が安定している東京都ならではの話である。同様の敬老パス制度は全国にもあるが、高齢化を背景に多くの自治体の財政事情は厳しさを増しており、各地で見直しが進んでいる。
千葉、静岡、浜松、広島の各市などが07年以降、制度自体を廃止したほか、名古屋市が22年に無制限としていた利用回数に制限をかけるなど、上限を設けた自治体も出ている。自治体による敬老パス、いわば「シニア割引」は今後、先細りしていくのは避けられない状況といえそうだ。
シニア割引を受けるには年齢確認できる身分証明書が必要なため、健康保険証や、運転免許証、運転経歴証明書などの身分証明書は持ち歩くのが必須だ。
(フリーライター 倉井建太)