2024年は急速な円安が進み、4月には1ドル160円を突破したことが歴史的な円安水準として、大きなニュースとなった。トランプ米大統領の再登場によって2025年の円相場は、どう推移するのだろうか。「円安」「円高」を小学生にも分かるよう解説した。
円を売りたい人が多い
日本の通貨である円の価値が、外国の通貨に比べて下がる、つまりは「安く」なるのが「円安」であり、逆に価値が上がる、「高く」なるのが「円高」だ。特に注目されるのが、国際取引で最も用いられている米国のドルに対する価値である。
円安や円高が起きるのは、通貨が国際的に売買されているからだ。異なる国の通貨を交換する場を「外国為替市場」という。「1ドル=150円」とは円とドルとの交換比率を示した数字で、モノや株の市場と同じように、買いたい人が多い通貨は高くなり、売りたい人が多い通貨は安くなる。つまり、円を売りたい人が多いのが円安である。
円安が進むと、エネルギーや食料など、輸入したモノやサービスの値段に上乗せされるため、物価が上がって国民の生活が苦しくなる。一方、輸出企業に有利に働くことも忘れてはならない。トヨタ自動車が昨年3月期の決算で、日本の会社で史上初となる営業利益5兆円台を達成したのは、円安による押し上げ効果を抜きには語れない。逆に、円高は輸入品が安くなる半面、輸出企業の利益が減少する傾向がある。「円安」と「円高」のどちらが、良いとは単純には言えないのである。