どんなに優秀な医師でも、最終的に「サービス力」が勝負
――今後、医療機関の倒産、休廃業・解散はもっと進むでしょうか。また、調査担当者として、この問題を解決して、国民がよりよい医療サービスを受けられるようにするにはどうしたらよいと考えますか。
阿部成伸さん 時間の経過とともに倒産、休廃業・解散は増え続けると考えます。特に経営者の高齢化を理由とした診療所の廃業はすさまじい勢いで増えると考えます。
国が主導し、経営状況や規模、後継者の有無などを考慮したうえで、段階的に各地域の診療所や歯科医院の機能を統合させるなどして、一定の規模・信用を備えた施設を将来の人口動態などを踏まえて設置していければ理想的ではないでしょうか。現在政府が進めている「中堅企業政策」に似たイメージです。
――今回の調査で特に指摘しておきたいことがありますか。
阿部成伸さん 医療機関に求められるのは最終的には「サービス力」だと考えます。どんなに優秀な医師がいて、最先端の機器が揃っていても患者さんが納得、満足する対応ができなければ、患者さんは離れていきます。
また、経営者は患者さんだけでなくそこで働くスタッフさんにも満足してもらわなければ良いサービスは提供できませんし、スタッフも離れていきます。こうした広い視野で現状を見直して、改善実行できる経営者がいる施設が生き残っていくのではないでしょうか。
また、繰り返しになりますが、今後は診療所の廃業件数増加が年を追うごとに深刻化していきます。同時にM&Aの動きも一気に加速し、その過程でいろいろなトラブルが発生することも想定されます。何事にも慎重な判断・行動が求められます。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)