「自分がキャリアを歩んでいくための学びの旅」へ出よう
――なるほど。若手と違ってミドルシニアの転職には困難がつきまとうと思いますが、どんな心がまえ、覚悟が大切なのか、アドバイスをお願いします。
石井宏司さん まず大事なことは「何のために転職という一大事に踏み切るのか」、自分の転職軸を明確に納得いく形で言語化していくことです。
これは実は転職最中にも変わってきたりしますので、転職活動のすべてを「自分がキャリアを歩んでいくための学びの旅」と捉えていく心構えが重要になってくるでしょう。
なかなか応募しても受からない、面接で厳しいことを言われる、内定をもらえないなど、その一つひとつを学びの機会をとらえて前に進めるかどうかが重要な姿勢となります。
そういった中で、自分が本当に活躍できる、必要とされるご縁を見つけていくことがその先のキャリアが花開くためには重要な「先行投資の時間」となることでしょう。
――アピールの仕方には何かコツがありますか。
石井宏司さん 面接ではアピールすることよりも、ベテランや経験者として相手と対峙し、対話すること。仕事のすり合わせやその顧客が困っていることをつかみ、そのことを自分の経験値で解決できそうだ、解決したいという成熟した姿勢が伝わることが大事になります。
冷静に落ち着いて、相手と会話しすり合わせる。「落としどころを前に進めるのに、こういうことができるのでは」と提案する姿が、相手企業からの信頼につながることでしょう。
ベテランや経験者が解く課題は、たいてい組織の中で利害関係が入り組んでいたり、矛盾があったり、歴史的な分断があったり、人間関係的に難しい問題であることが多いです。
そういった組織内部の人が匙(さじ)を投げてきた、難易度の高い課題に向き合う、解決していこうとする姿が「この人にわが社の難しい問題を任せてみたい!」という先方の期待を引き出すのです。