1980年代から90年代にかけ青春を過ごした世代を中心に、トヨタ自動車のスポーツカー、セリカGT-FOURがミッドシップエンジンで復活するのではないかという期待感が高まっている。その理由は2025年1月10~12日、千葉市の幕張メッセで開かれた「東京オートサロン2025」にある。
「私をスキーに連れてって」に登場
そのオートサロンでトヨタが発表した「2025年モリゾウの10大ニュース」の第1位は「ミッドシップが走り出した」だった。「モリゾウ」とはトヨタの豊田章男会長のことだ。
豊田会長が予想する今年のトヨタの10大ニュースの第1位は「ミッドシップが走り出した」、次点は「2000ccエンジンが走り出した」だった。この組み合わせから、次期セリカGT-FOURは2リッターエンジンを車体中央(ミッドシップ)に搭載するのではないかとの観測がメディアやクルマ好きの間で広まった。
セリカGT-FOURはトヨタが1986年に発売したフロントエンジン4輪駆動(4WD)のスポーツカーだ。映画「私をスキーに連れてって」に登場するなど、当時は若者に人気だった。90年代には世界ラリー選手権(WRC)で優勝するなど世界的にトヨタの名声を高めた。
しかし、セリカGT-FOURは若者のクルマ離れもあり、90年代末に生産を終了。2020年1月のオートサロンでトヨタが「GRヤリス」を公開するまで、トヨタに4WDの本格的なスポーツカーは存在しなかった。
GRヤリスは1.6リッター直列3気筒ターボエンジンをフロントに搭載し、軽量コンパクトな高性能車だ。WRCの規格と世界的なダウンサイジングの流れに合わせたものだが、熱心なファンの間ではGRヤリスを上回る本格的な4WDスポーツカーの登場を望む声があった。