重要なのは技術をもっている人とほしがっている人のマッチング
田中将吾さんが登壇した「サーキュラー・エコノミーEXPO 基調講演」(2024年10月)
――産官学の連携も進んでいますか?
田中さん サーキュラー・エコノミーに関する産官学のパートナーシップの会員募集が始まったのが2023年9月。現在、毎月10社以上増えており、12月中旬時点で560社以上に参画していただいています。家電、プラスチック素材などをどうするか、あるいはロードマップをどうするかといった議論をサブワーキンググループで活発に議論しています。
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――取り組みのポイントは?
田中さん 今後、議論の中で重要になるのは、再資源化を図るときの「情報連携」です。
サーキュラー・エコノミーでは、リサイクルする廃棄物の中に、どんな物質が含まれているのかがわからないと安心して使えません。
これまではそうした情報管理を人海戦術で行っていました。しかし将来的には、自動でデータを流通させ、再資源化に関わる人や企業はいつでも必要なデータを取り出せるプラットフォームを構築するつもりです。
その過程では、大学などの専門家から意見を取り入れ、一般廃棄物等を所管する自治体とも連携していきます。
――思えば、日本人にはもともと「もったいない」精神があり、資源の再利用は得意です。
田中さん おっしゃるとおりで、日本人のDNAに備わっています。とくにこれほどゴミを分別している国はありません。廃棄物処理に関しても日本は世界のトップランナーです。
たしかに、制度的な構築はヨーロッパが進んでいます。しかし、日本は取り組み実態でリードしているのです。それだけに、さらに政策を前に進めて、国際的なプラットフォームを先導していけるようになればと考えています。
このサーキュラー・エコノミーの流れはもう止めることはできません。グローバル企業でなくても、サーキュラー・エコノミーに取り組む企業でなければ、国内でもビジネスを続けていくことが難しくなる局面が確実にくると思われます。
RX Japanが主催する展示会では出展社も来場者にとっても、ビジネスチャンスにつながる新たな出会いがある(2024年10月)
――RX Japanが主催する「サーキュラー・エコノミーEXPO」は、企業間の連携や商談の場になり、また講演会を通じた情報発信の場にもなっています。最後に、この一堂に会する場がある価値をどうお考えですか?
田中さん 資源循環を進展させるために重要なのは、技術をもっている人とほしがっている人のマッチングです。
異なる資源に着目する人、資源を効率的に回収できる技術をもった人、回収できたらそれを低コストで高品質な資源に転換できる人、製品化する人、そして再資源化の回転率を上げるノウハウを持った人――こうした人たちが集うことで、よりパートナーを見つけやすくなります。
人と人とのつながりは、サーキュラー・エコノミーを推し進めていく上でも不可欠です。もしビジネスを展開する上でお困りのことがありましたら、経産省にご相談をお寄せください。支援させていただきます。
※※※
サーキュラー・エコノミーEXPO【春】は、日本最大の企業GX(グリーン・トランスフォーメーション)実現のための展示会「第6回 GX経営WEEK【春】」の構成展で、「脱炭素経営EXPO」、世界最大級新エネルギー総合展「第23回 SMART ENERGY WEEK【春】と同時開催となる。
「サーキュラー・エコノミーEXPO」では基調講演として、田中将吾さん、トヨタ自動車のChief Sustainability Officer・大塚友美さん、デロイト トーマツ インスティテュートの代表・松江英夫さんによる対談を実施。「官民の連携によるサーキュラー・エコノミーの推進」をテーマとするセッションをお見逃しなく。
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「『サーキュラー・エコノミーEXPO』は充実した内容のカンファレンスが見どころです。なかでも、サーキュラー・エコノミーの概念をつくったエレン・マッカーサー財団の講演にぜひご注目を。また、出展企業も昨年よりも大幅に増加し、関係する業界の川上から川下までを網羅した展示会になっています。ぜひ足をお運びください」(「GX経営WEEK」事務局長・小笠原徳裕さん)
【プロフィール】
田中 将吾(たなか・しょうご)
経済産業省 GXグループ 資源循環経済課長
2001年経済産業省入省。経済産業政策局 調査課、商務情報政策局 情報通信機器課、経済産業政策局 産業再生課で課長補佐、大臣官房会計課で政策企画委員、資源エネルギー庁 長官官房 総務課で戦略企画室長を経て、2020年日本貿易振興機構 ベルリン事務所 次長。2022年より現職。