プロ野球横浜ベイスターズ、日本ハムでプレーした野球解説者の高木豊氏(66)が、2025年1月20日までにユーチューブを更新し、フリーエージェント(FA)に伴う人的補償について私見を述べた。
「人道的にみても、あまりいいとは思えない」
FA移籍に関しては、移籍する選手の年俸に応じて「人的補償」「金銭補償」が発生する。
移籍する選手の年俸がチームの上位1位から3位をAランク、4位から10位をBランクとし、11位以下をCランクとする。
規約では、Aランク、Bランクの選手がFA移籍した場合、旧所属球団は移籍先の球団に対して人的補償、または金銭での補償を求めることが定められている。Cランクの選手がFA移籍した際には補償は発生しない。
高木氏は冒頭で、「人的補償をなんでやるのか訳が分からない」と批判的な口調で疑問を投げかけ、こう続けた。
「取るときはドラフトにかけたり、育成で来てください、来てくださいと言っている。FAで取りたい選手がいたら、人的(補償)でプロテクトしないで、『頑張ってくれよ』みたいな。そんなのってある?普通。人道的にみても、そういうことは、あまりいいとは思えない」
そして、FA移籍に伴う補償がルール化した背景について「戦力の均等化」を挙げ、次のように持論を展開した。
「人的補償をしてもしょうがないと思う」
「出ていく人間の球団に行きたいと思うか? チャンスをくれることはあるかもしれないが、魅力があるかないかといえば、出ていくということは、はっきり言って魅力がないということ。自分と合わないとか。個人的な感情を含めてだけども。それだったら人的補償をしてもしょうがないと思う。金銭もいらない。FAというのは、選手が個人的に取った権利だから、それに対して他の人が巻き込まれるというのは嫌じゃない?」
FA移籍に伴う補償に反対の姿勢を示した高木氏は、昨オフに発生した人的補償に言及した。
ソフトバンクの甲斐拓也捕手(32)が24年11月にFA宣言し、12月に巨人に入団した。スポーツ紙の報道によると、5年15億円の大型契約だという。
甲斐の推定年俸は2億1000万円で、Bランクと見られ、FA移籍に伴う補償が発生。ソフトバンクは「人的補償」を選択し、巨人が提出した28人のプロテクトリストから外れたプロ5年目の伊藤優輔投手(28)を獲得した。
このような背景を踏まえ、高木氏は「甲斐と伊藤の実績を比べてごらんよ。かたや世界一になっているキャッチャーだよ。今後、(伊藤がどうなるか)分からないが、これで戦力の均等を図るとか、人的補償になるか?それだったら、はなからやめておいたほうがいい。(金銭補償も)なんで金がいるのかも分からない」との見解を示した。
FA移籍に伴う「人的補償」をめぐり、過去に野球ファンの間で物議をかもしたことがあり、今回の甲斐の「人的補償」に大きな注目が集まっていた。