就業規則の退職規定は要チェック
2つ目の理由は、年度末退職者の穴埋めだ。新年度からの体制を組むうえで、転職や定年退職によって空いた穴を異動によって埋められない場合、採用で埋める必要がある。
「このポジションにいた人に代わって、こういうスキルを持った人を採用して欲しい、といったリクエストが現場から来ます。理想としては、新年度から新しいメンバーでスタートを切りたいところなので、年度末の駆け込み採用もありうるわけです」
3つ目は、採用予算の関係だ。
「採用人数も足りない、予算も消化していない、では何をやっていたのかということになります。エージェントや広告媒体などに求人を出して、駆け込みで予算消化をするところも少なくないでしょう」
本来は年収計算が単純化するなどの理由で、人事や経理にとって1月入社が望ましい面もあるという。それでも「新卒入社といっしょに事務処理できる」部分もあり、4月入社は困るというほどではないようだ。
Aさんの会社でも、1月下旬に求人を掲載し、2月中旬までに面接を完了、3月末までに内定を出し、4月1日に入社してもらうスケジュールで動いているという。
ただし、気になることもある。年度末に退職する際、就業規則の「退職の○か月前までに申し出ること」という規定に抵触しないか、ということだ。
この点については、正社員(期間の定めのない雇用)の場合、会社の承認がなくても、退職の申出をした日から起算して原則として14日を経過したときは退職となることを押さえておくべきだろう。
「いまは『1か月前まで』と定める会社が多いと思いますが、法律上は2週間前の通知があれば退職は有効です。退職によって会社に大きな迷惑をかけないことを前提に、引き継ぎなどの準備をしながら、3月末退職、4月入社というスケジュールはいまからでも組めると思います」