イタリアンやフレンチは、「本場直輸入」が返ってマイナスに
――西洋料理店の倒産が過去最多であることも不思議です。イタリアンやフレンチなど、最近の若い女性はオシャレな店が好きだと聞いています。
橋本伊織さん データを調べると、都市部での倒産が多いです。家賃が高いうえ、店の雰囲気や料理などの流行が影響していると思われます。もう1つは食材の問題。本場のイタリアやフランスなどからの輸入食材や調度品を使うと、円安の影響でかなり高くなっていることが考えられます。
――今後の飲食店業界はどうなるでしょうか。生き残るためのアドバイスをお願いします。
橋本伊織さん 厳しさが増すと思いますね。石破茂首相が2020年代中に最低賃金1500円(時給)以上の達成を政権公約に掲げたこと、経済同友会の新浪剛史代表幹事が「2020年代中といわず、3年以内に達成してほしい。できない企業は市場から退場すべき」と主張したことなど、賃上げ圧力がさらに働くと考えられます。飲食店業業界の時給は低いですから、時給を上げられない店の淘汰が進むでしょう。
また、天候不順が続き、たとえばキャベツの価格が1キロ当たり500円近くと、平年の3倍以上も高くなるなど、野菜が軒並み高くなっています。弊社が最近発表した「2025年の食品価格改定動向調査」でも、2024年は2023年より値上げ品目が減って落ち着きを見せたのですが、2025年は4月までに2024年より6割増のペースで値上げラッシュが続く見通しです。
こうした厳しい状況の中でも生き残るためには、各店の特色を押し出して付加価値を生み出せる経営を行うこと、信頼できる企業との経営統合や事業譲渡などで体力をつけ、賃上げや経営効率化ができるようにすることなどが必要だと考えます。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)