バー、キャバレーは2次会、3次会が減ったのが打撃
――国民食といわれるラーメン店の倒産が急増している理由は何でしょうか。参入が簡単なために競争が激化しているとよく言われますが、「1000円の壁」という安い価格も影響しているのでしょうか。
橋本伊織さん 参入のハードルが低いため、どんどん新しい店ができて競争が激しいのが現実です。ただし、人気店などでは、必ずしも「1000円以内」でないとお客が来ないということはないようです。
ラーメン店に取材をした際、立ちっぱなしの仕事が辛いためになかなか店員が確保できないという話も聞きました。
――なるほど。たしかに飲食店は「立ち仕事」が多いことが問題ですね。最近、求人大手のマイナビが、「座ってイイッスPROJECT」として、飲食店やスーパーのレジ打ちなど立ち仕事のアルバイト向けに、ちょいと腰をかけられる専用椅子を開発して話題になっています。
橋本伊織さん それとラーメン店の場合は、豚骨、牛骨、鶏ガラ、チャーシュー(焼豚)、卵といったように「動物系」のだしや食材が多いのが特徴です。話を聞くと、「動物系」の原材料の値上がりの影響を大きく受けているという声も聞かれました。
――居酒屋、バー、キャバレーなどアルコール中心の店が軒並み倒産ラッシュですね。背景には最近の若者が女性の接待を嫌ったり、「ソバキュリアス」といってお酒を飲まないことを美徳とする文化が広がったりしていることが背景にあるのでしょうか。
橋本伊織さん コロナ以降、若者だけでなく中高年も含めて全体的にお酒を飲まなくなっていると思います。みんな早く飲み会を切り上げ、夜の街も以前より早く店じまいしているところもあるようです。
バー、キャバレーはリーマンショック(2008年9月)以降に法人接待が減少して厳しい環境が続いていました。また、2次会、3次会利用が多い場所ですから、飲み会の終わりが早まればお客は少なくなります。