首都圏JR・私鉄3月のダイヤ改正を総チェック 使いやすさ向上する?これまでの「苦情」は解決された?

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本数増は実現せず

   「使いやすさ」という点では、混雑路線で増発を実施することは評価できる。山手線では、朝ラッシュ時に内回り・外回りで各3本、夕ラッシュ時にはそれぞれ各2本である。だが、日中の混雑が多くの利用者に不満を抱かせている状況は改善されず、日中の列車本数に変更はない。

   ワンマン運転が開始となる南武線では、平日の夕時間帯に立川発上り列車を2本、稲城長沼からの下り列車を2本増発する。南武線は混雑の激しい路線なので、これは朗報である。なお、ホームドアの整備により、転落事故などが減ることになるので、ダイヤの正確性は増す。

   地下鉄や私鉄でもダイヤ改正が行われる。東京メトロ千代田線では、夕方の代々木上原方面からの綾瀬行きを北綾瀬行きに変更し、利便性を向上する。

   小田急電鉄では、平日夕方の東京メトロ千代田線から直通する「準急」5本を、「急行」に種別変更する。また、平日・土休日日中に多摩線唐木田から東京メトロ千代田線に直通する急行(千代田線内は各駅停車)を設ける。現在は向ヶ丘遊園から千代田線に急行が直通しているが、以前のような「多摩急行」が実質的に復活する。なお、多摩線内は各駅に停車するため、乗り換えの不便さがなくなる。

   東武鉄道の東上線では日中の急行列車が1時間当たり4本から6本に増加し、東上線の速達性を高める。

   これらの外に見えるダイヤ改正のために、見えない部分で首都圏の鉄道事業者は細かい調整をしている。

   この3月のダイヤ改正では、「思い切った」というよりは、細かな修正が中心になっている。だが、コロナ禍を経て人が鉄道に戻ってきているのに、本数増を実施しないというのは、乗客にとってデメリットである。2026年春のダイヤ改正ではそのデメリットを解消していただきたい。(小林拓矢)


筆者プロフィール

こばやし・たくや/1979年山梨県甲府市生まれ。鉄道などを中心にフリーライターとして執筆活動を行っている。著書『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。

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