プラスチックはリサイクル後にどうなるの? 21万5000トンが再生された姿とは

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   「君がちゃんとペットボトルに戻ってくるか、これないか。ここが運命の分かれ道」「ペットボトルで、また会おう」――稲垣吾郎さん、草彅剛さん、香取慎吾さんが出演するサントリーのCMシリーズがYouTubeで公開されている。

  • 日本は世界屈指のペットボトル・リサイクル大国
    日本は世界屈指のペットボトル・リサイクル大国
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日本は「ペットボトル・リサイクル大国」

   日本は屈指の「ペットボトル・リサイクル大国」だ。2024年11月に「PETボトルリサイクル推進協議会」が出した年次報告書によると、ペットボトルのリサイクル率は85%(2023年度)だ。これは米国の19.6%(2021年)や、環境意識の高い欧州の42.7%(同)をはるかに超える世界最高水準である。

   よく知られているように、プラスチックごみは海洋汚染の元凶になっている。ウミガメなどの海洋生物が飲み込んで命を落とす。国連環境総会が「プラスチック汚染を終わらせる」と決議したのは2022年3月だった。これを受けて各国が規制へ向けて「ブラスチック条約」を作ろうと話し合っているが、難航している。

   環境省の調査によると、ペットボトルは日本のプラスチックごみ全体の21%を占める。出荷本数は年々伸びており、2023年度には267億本に達している。20年前のおよそ1.8倍にあたる。

食品用トレイや衣類の繊維にも生まれ変わる!

   ブラスチックごみは再資源化できる。選別して異物を取り除き、粉砕・洗浄・乾燥して「フレーク」という原料にする。このフレークを溶かして均一の粒状にしたものは「ペレット」と呼ばれ、いろいろな製品に加工できる。

   では、こうした再生PET樹脂はどんな用途に使われているのだろう。年次報告書によると、もっとも多いのが「ペットボトル」への再生だ。そのほかに食品用トレイなど「シート」、衣類など「繊維」にも活用されている。

   清涼飲料業界は「ボトルtoボトル(B to B)」という運動を進めている。使用済みペットボトルからペットボトルを再生することで、資源が何度も循環する「水平リサイクル」になる。石油由来の原料から新たにボトルを製造するより、地球温暖化に影響する二酸化炭素の排出量を低く抑える効果があるといわれている。

   「2030年ボトルtoボトル比率50%宣言」を一般社団法人「全国清涼飲料連合会」がかかげたのは2021年4月だ。国内販売量に対し、水平リサイクルである「ボトルtoボトル」の比率は当時20%そこそこだった。これを2030年までに50%に引き上げる。実現すれば、販売されたペットボトルの2本に1本の割合で「戻ってくる」ことになる。

飲料メーカーによる啓発活動も盛ん

   消費者が捨てる際、「ペットボトル・キャップ・ラベル」の三つに分別すれば作業効率が上がる。そのために新しく工夫されたデザインのリサイクルボックスの実証実験が東京都内の駅で行われた。2024年2月には、減量化や包装の簡素化をもりこんだ「PETボトルの環境配慮設計指針」も業界で定められている。飲料メーカーによる啓発活動も盛んだ。

   2024年に「PETボトルリサイクル推進協議会」が出した年次報告によると、「ボトルtoボトル比率」はまだ33.7%だが、重量にすれば21万5000トンがペットボトルによみがえり「戻ってきた」ことになる。

(ジャーナリスト 橋本聡)

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